処方薬「ノアルテン」のご説明
札幌にある婦人科「ネオクリニック」では、黄体ホルモン製剤である「ノアルテン」を処方しています。
ノアルテンは、月経周期を整えるために使用されるお薬で、当クリニックでも月経異常や月経困難症、黄体機能不全症による不妊症、不正出血などの治療薬として使用しています。
ノアルテンは体への負担も少ないことから多くの病院やクリニックで処方されています。今回はネオクリニックで取り扱うお薬「ノアルテン」のご説明を致します。
ノアルテンとは
ノアルテンは富士製薬から発売されている、経口タイプの1錠が有効成分5mgの黄体ホルモン製剤です。
正しく服用することで女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充することで子宮内膜の状態を改善させます。また、連続服用することで避妊効果もあります。
無月経などの月経異常や、稀発月経・頻発月経などの月経周期異常、過小月経・過多月経などの月経量異常、月経困難症、黄体機能不全による不妊症、卵巣機能不全症、機能性子宮出血などさまざまな生理周期に起こる症状の治療薬として使用されます。
簡単に代表的な症状の解説を致します。
無月経
無月経は、妊娠中や初潮前・閉経後などを除いて3ヶ月以上生理がない状態をいいます。無月経の状態が続くと不妊のリスクが高まるためノアルテンを処方し、生理周期を正しく整え排卵を起こすように治療していきます。
月経周期異常(稀発月経・頻発月経)
月経周期異常とは、正常な生理周期が28~35日であるのに対して、生理周期が短かったり長かったりすることを言います。生理周期が28日以内であれば頻発月経といい、35日以上であれば稀発月経といいます。
月経量異常(過小月経・過多月経)
月経量異常とは、1回の経血の量が、約150ml程度が正常であるのに対して、150ml以下で少ない場合を過小月経、150ml以上である場合を過多月経と呼んでいます。過小月経・過多月経どちらも卵巣や子宮の異常がある場合があります。
月経困難症
月経困難症は生理が始まることでひどい下腹部痛や腰痛の症状の他に、頭痛や悪心、嘔吐などの症状が複数現れるもので、生理期間中は日常生活が困難になってしまうものをいいます。
月経困難症の中には病気が原因となって引き起こされるものもあり、その治療としてノアルテンが処方される場合があります。
卵巣機能不全症
卵巣は女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌と、卵胞から卵子を育て排卵日に卵管を通って子宮に届ける働きをしています。
しかし、卵巣が何らかの原因で正常に働かなくなってしまうことを卵巣機能不全症と呼んでいます。この症状の治療にもノアルテンが処方される場合があります。
ノアルテンの効果・副作用
そもそもノアルテンの中に含まれる黄体ホルモンは、生理周期の黄体期に多く分泌されるホルモンで卵胞期から排卵期で厚くなった子宮内膜の状態をふかふかの状態にして体温を上げて、受精卵を着床しやすくする働きのあるホルモンです。
では、ノアルテンを服用することでどのような効果があるのでしょうか?
効果
ノアルテンは黄体ホルモンの代わりとして用いられ、黄体ホルモンの不足やホルモンバランスの乱れで起こるさまざまな症状を改善する薬です。
生理不順・無月経の改善
生理不順や無月経の症状がある場合には、生理周期のリズムを整える目的で使用されます。一定期間服用し、子宮内膜を厚く維持して服用を中止することで生理を起こし生理周期を整えていきます。
機能性子宮出血
ノアルテンを服用している期間は、体内の黄体ホルモンの量が多くなり子宮内膜ははがれにくくなり子宮内膜の状態が維持されます。
機能性子宮出血と呼ばれるホルモンバランスの乱れで起こる不正出血に対して、ノアルテンを服用することで子宮内膜が剥がれるのを抑制し出血を抑えていきます。
黄体機能不全による不妊症
黄体機能不全とは、黄体の働きが悪く基礎体温の上昇がみられない時や、通常2週間の黄体期が10日以下と短い場合をいいます。
黄体期が短くなると、子宮内膜の状態が維持できず、受精卵が着床しにくくなることや着床した受精卵が育ちにくくなってしまう不妊症や不育症になってしまいます。
そのため黄体ホルモン補充療法としてノアルテンを服用し、子宮内膜の状態を整えて受精卵が着床しやすい状態にします。
副作用
飲み始めに多くみられる副作用は、吐き気や嘔吐、乳房の張りや痛み、頭痛などの症状が挙げられます。これらの症状は、2~3ヶ月服用を続けることで徐々に体が慣れ、軽快する場合がほとんどですので、それほど心配する必要はありません。
人によっては、体がだるくなる場合や副作用の症状がひどく現れる場合があり、気分が憂うつになるといった報告もあります。薬の服用からしばらくたっても症状が改善されない場合は、病院を受診し医師と相談しましょう。
重い副作用としては、アナフィラキシーショックによる呼吸困難や蕁麻疹があります。息苦しさや発疹の症状があれば服用を中止し医師の診察を受けましょう。
ノアルテンの価格
ノアルテンは使用する症状によって服用する期間が変わってきます。
ノアルテンは比較的体への負担が少ないことからさまざまな症状で使用されますが、症状に合わせて使用する量や期間には違いがありますので医師や薬剤師による説明を受けましょう。
ネオクリニックでのノアルテンの価格は
ノアルテン | 2,500円/1ヶ月 |
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となっています。
ノアルテンの飲み方
ノアルテンは使用する目的によって飲む量や期間が異なりますので医師からの説明を受けましょう。通常は1日5~10mgを1~2回に分けて経口服用します。
生理周期を延長する場合と生理周期を短縮する場合で服用の仕方は違いますので注意しましょう。また、ノアルテンの服用をお勧め出来る方についても紹介致します。
生理周期を延長する場合
頻発月経で生理周期が28日以内の場合や、1ヶ月に何回も生理が来る場合には生理周期を伸ばして生理周期を整えます。生理周期を延長する場合は、1日5mgを生理予定日の5日前から服用し始め、生理周期を伸ばしたい日まで毎日続けて服用します。
生理周期を短縮する場合
稀発月経で生理周期が35日以上の場合や、生理が3ヶ月以上来ない続発性無月経などの場合には生理周期を早めて生理周期を整えます。生理周期を短縮する場合は、1日5mgを卵胞期に服用し、数日間続けて服用します。
服用を中止しても生理が来ない場合
ノアルテンの服用を中止した後すぐに生理がこないことで不安に感じる方がいますが、特に心配する必要はありません。
ノアルテンは黄体ホルモン製剤ですので、服用中止後に子宮内膜が十分に肥厚していれば数日後に生理が始まります。生理周期を整える目的で使用されますので数日間は様子を見ましょう。
お勧め出来る方
ノアルテンは生理周期の異常などのさまざまな症状の方に処方されるお薬ですが特に以下のような方に服用をお勧めします。ネオクリニックでは、生理に関するさまざまな症状を診察していますので、以下の特徴に当てはまる方はお気軽にご相談下さい。
生理に関する悩みある方
生理周期は通常28~35日が正しいとされていますが、生活習慣の乱れやストレスなどでホルモンバランスが乱れてしまうと生理周期が遅くなってしまったり早くなってしまったりします。
また、経血の量が多くなる早くなるなどの症状があれば卵巣や子宮に異常があるかもしれません。生理に関する悩みがありましたら一度病院の受診をお勧めします。
更年期・更年期障害にお悩みの方
40代後半になると女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減り閉経に向けて体が準備を始めます。この時期に起こるほてりやのぼせ、だるさ、イライラなどの症状を更年期障害といい日常生活に支障をきたす方もいらっしゃいます。
更年期障害の治療にはエストロゲン製剤を用いますが、それと同時に子宮体がんの予防としてノアルテンの処方も行います。更年期障害でお悩みの方はホルモン補充療法をお勧めする場合があります。