処方薬「エルシド膣錠」のご説明
こんにちは、札幌市の婦人科「ネオクリニック」です。膣内や外陰部にかゆみを感じる、おりものの様子がいつもと違う、という悩みを抱えていませんか。それはもしかしたら、一般に「膣カンジダ」と呼ばれる膣内や外陰部の炎症が原因かもしれません。
膣カンジダは「カンジダ」という真菌によって起こる膣内や外陰部の炎症のことを指します。膣カンジダは性交渉などで起こる性病の一種と思われている方が多いのですが、実は女性であればだれでも発症する可能性のある病気です。女性の5人に1人が発症しているともされており、再発の可能性もあります。
ですが、正しい対処方法を知って早めに治療を行えばきちんと治すことのできる病気でもあります。1人で悩まずに、まずはお近くの医師に相談するようにしてください。特に初めて症状が出た方には判断が難しく、他の病気が原因である可能性もあります。必ず医師の診断を受けるようにし、正しい治療を行うようにしてください。産婦人科での膣カンジダの治療は、主に薬の処方で行います。
今回はその膣カンジダの治療薬である「エルシド膣錠」についてご紹介します。
エルシド膣錠とは
エルシド膣錠は性病治療薬の一種であり、「カンジダ」という真菌による膣炎や外陰膣炎を治すための治療薬です。「カンジダ」は健康な人の皮膚や腸内、粘膜にも存在している常在菌です。「カンジダ」は膣内にも存在していて、普段は膣内が酸性に保たれているため「カンジダ」は繁殖しにくく炎症が起こることはありません。しかし、何らかの原因で「カンジダ」が異常に増殖してしまうと炎症を起こし、かゆみやおりものの異常が見られるようになります。「カンジダ」による炎症が起きやすいのは、風邪や寝不足、過度のストレスで身体の免疫力が落ちているときです。また、抗生物質の服用や生理などで膣内の菌のバランスが崩れることも発症の原因の1つと言われています。
「カンジダ」は高温多湿な状態を好む真菌ですので、締め付けるような下着や服を長期間着用していたり、ナプキンを長期使用していることで「カンジダ」が繁殖しやすい状況を作ってしまうこともあります。膣内の環境が改善すれば自然とカンジダの異常増殖が改善され、症状が治まることもあり、発症している自覚がない方もいらっしゃるようです。しかし、「カンジダ」による炎症は再発する可能性があり、症状が長引いてしまうこともあります。対処方法を知って適切な治療を行うことで早期に症状が治まることが多く「カンジダ」による炎症も起こりにくくなりますので、再発防止のためにも医師にアドバイスを求めるのが良いでしょう。
膣カンジダが疑われる場合、産婦人科では膣や外陰部の症状を調べ、膣鏡を入れておりもの性状を検査します。検査の結果、膣カンジダと診断された場合は真菌を殺菌するための抗真菌薬を処方して治療を行います。
エルシド膣錠はカンジダを含めた真菌を殺菌する作用を持つ抗真菌薬です。内服薬のように体内に吸収されて効果を発揮するのではなく、膣内でカンジダに直接作用し、炎症の原因を殺菌します。そのため、膣内に直接挿入する必要がある薬剤です。外陰部のみにかゆみなどの症状があらわれている場合でも、膣内でカンジダが異常増殖している場合があるため、外陰部に塗布するクリーム剤と併用して使用する場合があります。
エルシド膣錠の効果・副作用
エルシド膣錠はカンジダに起因する膣炎や外陰膣炎に効果を発揮する抗真菌薬です。主成分はクロトリマゾールという成分で、カンジダのような真菌の細胞膜や核膜といった身体の一部に作用して結合し、障害を与えて殺菌する作用を持っています。主な副作用として、使用した際の膣内の熱感、刺激感、かゆみ、発赤・紅斑、痛み、皮膚の発疹などが報告されています。このような症状があらわれた場合は一度使用を中止し、必ず医師の診療を受けるようにしてください。これらの副作用は今までに起こった全てのものを網羅しているわけではありません。ここに書かれたこと以外でも気になる症状が出た場合は医師または薬剤師に相談するようにしてください。
エルシド膣錠を今までに使用してトラブルがあった方は使用を避けるようにしましょう。また、他の薬で副作用があらわれた方はその旨を担当の医師や薬剤師に伝えておくようにしてください。他に薬を服用している場合、お互いに作用を強めたり弱めたりする成分が入っている場合もありますので、市販薬も含めて医師や薬剤師にその旨を伝えるようにしてください。特に外陰部のかゆみを抑えるためにステロイド剤や市販薬のかゆみ止めクリームを使用すると、症状が悪化し治療を遅らせてしまう可能性があります。
妊娠3か月以内または妊娠している可能性がある女性の場合、治療の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。妊娠中の使用に関する安全性確立は立証されていないため、担当の医師や薬剤師との相談の上使用するようにしてください。授乳中の方も薬剤の母乳中への移行を考慮し、慎重に使用する必要があります。必ず医師または薬剤師に相談し、指導を受けるようにしましょう。
エルシド膣錠の価格
ネオクリニックでのエルシド膣錠の価格は
エルシド膣錠 | 100円/1錠 |
---|
となっています。
エルシド膣錠の使用方法
エルシド膣錠は1日1回、1錠を膣深部に挿入して使用します。使用前には手を清潔に洗浄してから薬剤を挿入するようにしてください。また、湿気を吸収して崩壊してしまうことがあるため濡れた手で薬剤を扱わないようにしてください。外陰部を清潔にした後、中腰で膣内に深く挿入します。就寝前に挿入すると出てくる心配がありません。また、挿入後20分から30分間は激しい運動は避けるようにしてください。
一般には6日間継続して使用しますが、必要に応じて使用期間を延長することがあります。6日間継続して使用しても症状の改善が見られない場合は、医師の診療を受けてください。また、症状が改善されたからといって自分の判断で使用を中止せず、医師から指示された期間は使用を続ける必要があります。もし使い忘れた場合は気が付いた時点でなるべく早く使用して頂き、その後の使用は指示通りの時間に行うようにしてください。エルシド膣錠は通常の環境での保管で2年間の安定性が保証されていますが、医師や薬剤師から処方されたエルシド膣錠はなるべく継続して使用し、使い切るようにしましょう。
生理中は薬剤が血液とともに洗い流されてしまい、薬剤の効果が十分に得られない可能性があるため使用は控えましょう。薬剤の使用途中で生理が始まってしまうと薬剤の使用継続ができませんので、生理予定日を考慮して薬剤の連続使用ができるよう使用開始日を調整する必要があります。生理日が使用期間に重なる可能性がある方は医師または薬剤師に相談の上、使用開始日をずらすようにしてください。
エルシド膣錠は飲み薬ではありませんので、保管の際には他の飲み薬と混ざらないよう注意する必要があります。特に小児は誤飲の可能性がありますので、小児の手の届かないところに保管するようにしてください。直射日光や高温、湿気のある場所は避けて涼しいところで保管するようにしましょう。
膣カンジダに関する情報はこちら
膣カンジダは女性の5人に1人が経験したことがあるポピュラーな病気です。性感染症として認識されていることが多い膣カンジダですが、実は性接触による感染は全体の約5%。膣カンジダは日和見感染症でもあり、普段は体に害のない菌が免疫力の低下によって増殖し病気として発症してしまいます。
最近は市販薬でも膣カンジダ用の薬が販売されていますが、膣カンジダと断定できない状態で薬を服用するのは危険です。原因が膣カンジダではないのに市販の膣カンジダ薬を服用した場合、耐性菌になったり重症化したりするケースもあります。
少しでも違和感を感じた場合はまずは産婦人科や婦人科で検査や治療を受けるようにしましょう。