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コラム

経口中絶薬とは?メリット・デメリットや費用・扱える病院についても徹底解説

経口中絶薬とは?メリット・デメリットや費用・扱える病院についても徹底解説

厚生労働省の調べによると令和4年度の人工妊娠中絶件数は約12万件。避妊に失敗してしまったり、事件に巻き込まれたりするなど、さまざまな理由で望まない妊娠をしてしまう人は少なくありません。
2023年、そんな望まない妊娠をしてしまった女性の選択肢が新たに増えたことを皆さんはご存知でしょうか? 経口中絶薬が承認され、これまで外科処置でしか行うことのできなかった妊娠中絶術が、内服薬で行えるようになりました。
今回は、日本で承認を得た経口中絶薬について解説します。どのような薬なのか、費用、メリット・デメリットなど、詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

人工妊娠中絶の種類

妊娠を途中で中断させる人工妊娠中絶の方法は、現在大きく分けて2つあります。最初に、人工妊娠中絶の方法について紹介します。

外科処置

これまで日本で主流とされてきた人工妊娠中絶法は外科処置によるものです。外科処置にも以下の2種類の技法があります。

  • 掻把(そうは)法
  • 吸引法

特に日本では、掻把法を用いた人工妊娠中絶術が主流として行われてきましたが、世界では数十年前から吸引法が支持されています。

掻把(そうは)法

掻把(そうは)法は、鉗子などの器具を子宮内に直接挿入し、胎児や胎盤などの子宮内容物を掻きだして人工妊娠中絶を行う手法です。衛生管理がしやすく、子宮の状態を把握しやすいなどのメリットがある一方で、器具を挿入する際に傷みを伴うことや子宮内に傷がついてしまうなどのデメリットもあります。

吸引法

吸引法は、子宮内に吸引機を挿入し胎児や胎盤などの子宮内容物を吸入して人工妊娠中絶を行う手法です。掻把法に比べると負担が少なく、世界的な人工妊娠中絶の外科処置は吸引法が主流になりつつあります。
吸引法にはEVA式とMVA式があり、使い捨て器具を用いることでより衛生管理が行き届き、患者への身体的ダメージを抑えられるとされるMVA式が近年注目を集めています。

内服薬処置

内服薬処置は、内服薬を服用することで人工妊娠中絶を行う手法です。WHO(世界保険機構)も安全性を認めており、中絶の方法として内服薬処置による施術を推奨するとしています。
外科的処置では、子宮内壁を傷付けるリスクや手術を受けることに対する精神的負担が大きいとされる一方、内服薬処置では、患者の心身の負担を最小限に抑えられるという声もあります。

経口中絶薬とは

経口中絶薬とは、その名の通り中絶に有効な作用を持つ服用薬です。 ただし、妊娠全期を通して服用できる薬ではありません。経口中絶薬による堕胎が認められている諸外国では、妊娠初期の堕胎に用いられる薬です。 様々なリスクも鑑みて、医師による診断や処方、適切な服用方法の徹底などが求められます。

令和5年(2023年)4月より経口中絶薬「メフィーゴパック」が承認

海外では30年以上前から普及していたと言われる経口中絶薬ですが、日本ではながらく未承認とされ人工妊娠中絶に際する服薬処置は認められていませんでした。
しかし、令和5年4月に厚生労働省は経口中絶薬「メフィーゴパック」の承認手続きを行う旨を発表し、ついに日本でも人工妊娠中絶の内服薬処置が可能になります。一般名は「ミフェプリストン錠・ミソプロストール錠」で、2種類の錠剤を内服することで、妊娠中絶効果が得られる医療医薬品です。
医療医薬品として医師の指示下でのみ服用できる薬剤であるため、薬局やインターネットなどでの市販はされていないので注意してください。

経口中絶薬の服用方法

経口中絶薬は以下の方法で投与されます。

  1. ミフェプリストン錠1錠を経口で内服する
  2. 36~48時間待機
  3. ミソプロストール錠4錠を30分かけて口腔粘膜から吸収させる

人工妊娠中絶の内服薬処置を受ける患者は、原則として入院もしくは2回以上医師の受診を受けることが求められます。
厚生労働省の説明によると、入院、通院のどちらの方法でも内服薬処置を受けられるとされていますが、中絶処置の完了が確認されるまで院内待機による経過観察が必要であることから、入院設備のある医療機関のみ経口中絶薬による処置が認められるのが現状です。

経口中絶薬の費用

メフィーゴパックの薬剤価格は世界的にみて平均780円と大変安価な薬と言えます。しかし、日本産婦人科医会は「薬の価格はおよそ5万円とみられる」と発表しており、諸外国のように手が届きやすい価格とは言えません。
また、人工妊娠中絶の処置を受ける前の検査や中絶確認までの待機(入院)費用などを考えると、施術を受けるには数万円から数十万円の費用が発生することが予想できるでしょう。
近年10万円以下で日帰りの人工妊娠中絶手術を行うクリニックなども存在するため、経口中絶薬を使った妊娠中絶のコストパフォーマンスについてはメリットがあるとは言い難いです。

経口中絶薬のメリット・デメリット

世界でも広く支持されている経口中絶薬ですが、メリットがあればデメリットもあります。続いては、経口中絶薬のメリットやデメリットについて解説していきます。

メリット

経口中絶薬による人工妊娠中絶には以下のメリットがあります。

  • 体の負担を軽減できる
  • 精神的な負担を軽減できる
  • 外科処置と比較して費用が抑えられる場合がある(クリニックによって異なる)

経口中絶薬を使用する最も大きなメリットは、心身の負担を軽減できる点にあります。望まない妊娠はそれだけで女性の精神に大きな負担を与えるでしょう。痛みを伴う施術を受けずに妊娠を中断できるという点で、経口中絶薬には精神面での負担軽減が期待されます。

デメリット

経口中絶薬による人工妊娠中絶には以下のデメリットが挙げられます。

  • 妊娠9週以上は服用できない
  • 大量出血など重大な副作用が起こる可能性がある
  • 外科処置と比較した場合、失敗率が高い
  • 中絶完了までに約2~3日かかる

経口中絶薬によるデメリットで、最も危惧されているのが重篤な副作用です。
海外では、大量出血や重篤な感染症を引き起こした症例も報告されているため、原則として中絶が完了するまで医師による経過観察が必要とされています。
また、胎児の排出を確実に行える外科処置とくらべて、中絶失敗率が高い事も理解しておく必要があるでしょう。日本国内で行われた臨床実験では、120人中6.7%の女性は24時間以内に中絶が完了しなかったというデータも報告されています。

経口中絶薬はどこで処方を受けられる?

経口中絶薬を使用した人工妊娠中絶施術を行えるのは以下の条件を満たす医療機関です。

  • 母体保護法指定医が在籍している医療機関
  • 入院可能な設備のある医療機関
  • ラインファーマ社への登録を行っている医療機関

これらの条件を満たしている医療機関のみ、経口中絶薬による人工妊娠中絶施術ができます。
母体保護法指定医とは都道府県医師会の審査委員会によって認められた医師で、人格、技術、設備の3点からなる審査を受けています。現在約7,500名が母体保護法指定医の承認を受けているとされており、続々とメフィーゴパック販売元であるラインファーマ社では使用申請が増加中です。
今後、経口中絶薬を用いた人工妊娠中絶処置が可能な医療機関が増えていくことが予想されます。
参考:いわゆる経口中絶薬「メフィーゴパック」の適正使用等について
参考:中絶薬について相談ができる病院・クリニック検索

経口中絶薬は保険適用される?

人工妊娠中絶は、病気ではないため保険は適用されません。自由診療扱いで、全額自費となります。経口中絶薬による人工妊娠中絶の費用は、薬価が約5万円と言われているため、検査費、入院費等を含めると施術全体で10万円前後の負担になることが予想されています。
世界では、経口中絶薬の費用を公費で補うなどして、ほぼ無料で処方されている国もあることから、経口中絶薬にかかる費用についても多くの議論が巻き起こっています。

経口中絶薬の個人輸入は法律違反になる場合も

国内で経口中絶薬メフィーゴパックが認証されたものの、あくまで医師の管理下のもと処方される医療医薬品であり、市販または個人輸入による一般人の自己判断による服用などは認められていません。
しかし、法整備が整っていなかった2004年以前には、少量であれば諸外国から経口中絶薬を個人輸入することが認められていました。 個人輸入した経口中絶薬による健康被害が報告されたことから、厚生労働省は少量であっても医師の関与しない個人の輸入を禁止。(2024年現在、メフィーゴパックは医師も個人輸入が禁止されています。)
現在でもいくつかの経口中絶薬を制限し、個人輸入しないよう注意喚起をしています。

〇厚生労働省による注意喚起が行われている経口中絶薬

一般名:ミフェプリストン(MIFEPRISTONE)
商品名:ミフェプレックス(MIFEPREX)
通称:RU486
欧州における商品名:ミフェジン(MIFEGYNE)
中国における商品名:息隠(米非司酉同片)
台湾における商品名:保諾(Apano)

法律により規制されているものの、規制の裏をかいくぐる個人輸入業者がいないとは言い切れません。
経口中絶薬は、海外でも医師の診察のもと処方されているもの。自己判断での服用は、経口中絶薬を承認している諸外国でも危険であると示されています。 決して個人輸入や自己判断で服用しないよう注意して下さい。
健康被害の他にも、日本の刑法では一般人が堕胎行為を行った場合「堕胎罪」として罪に問われる可能性もあるため、重ねて注意が必要です。堕胎罪の罪に問われた場合、1年以下の懲役が課せられる可能性もあります。

望まない妊娠を防ぐための経口避妊薬という選択

ピルをやめるタイミングはいつ?

望まない妊娠をしてしまった際に、経口中絶薬で堕胎できるとしたら心身の負担が多少和らぐかもしれません。
しかし、痛みを伴う身体へのリスクや排出された胎児を目のあたりにする心理面での影響は計り知れないものです。
もしも経口避妊薬が承認されたとしても、手離して喜んでいるだけではいけないでしょう。まずは、妊娠を望まないのであれば有効な避妊方法を検討することが大切です。
特に、日本では男性が主体となるコンドームの単一避妊が一般化してしまっています。これは、コンドームの装着不備やコンドーム自体に破損があれば、避妊失敗となってしまう可能性があります。
望まない妊娠を防ぐためには、女性主体の避妊方法も大切です。
女性主体の避妊方法として用いられるのが経口避妊薬「低用量ピル」です。生殖機能を持って性行為をする以上、100%の避妊は不可能でしょう。
しかし、低用量ピルとコンドームを併用することで、限りなく高い確率での避妊は可能です。望まない妊娠をしてしまう前に、まずは適切な避妊を心掛けましょう。
経口避妊薬については以下の記事でも詳しく紹介しているので参考にしてみて下さい。

まとめ

望まない妊娠をしてしまった女性に対して、さまざまな選択肢が用意されていることは、とても重要です。経口中絶薬による人工妊娠中絶も、選択肢のひとつと言えます。
望まない妊娠に対して、少しでも負担を軽減できることは、傷付いた女性の心を救うことにも繋がるでしょう。メリットやデメリットを充分に理解したうえで、選択することが求められています。
一方で、再び同じ過ちを繰り返してしまわないよう、望まない妊娠を防ぐ取り組みを考えることも大切です。当院では、人工妊娠中絶と合わせて日頃の避妊についての相談も承っております。
まずは望まない妊娠を終え、心の回復と共に前を向いて人生を歩んでいけるよう、配慮してお話をさせていただきますので、気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

宿田 孝弘
宿田 孝弘 ネオクリニック 院長

ネオクリニック院長の宿田孝弘です。私たちのクリニックはとても小さなクリニックですが皆様にとってのコンビニクリニックになれるように努力しますのでよろしくお願いします。

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