おりものの量や色、においが変化!?これって病気?おりものの状態から症状をセルフチェック!
女性の体のバロメーターであるおりもの。この記事ではおりものについて解説します。おりものの役割をはじめ、量やにおいが変化する理由や、病気のサインとなる異常なおりものの特徴も紹介。
おりものについて知りたい人や、おりものに違和感がある人は、セルフチェックの参考にしてみて下さい。
おりものとは
おりものとは、子宮内部の様々な分泌液が混ざり合ったもの。子宮内膜、子宮頸管、膣壁、バルトリン腺、皮脂腺、汗腺などの分泌液が含まれます。それらの分泌液が排出される際に、膣を滑り落ちてくる様子から「女性の体からおちてくるもの」という意味で「おりもの」と呼ばれるようになりました。
おりものの役割
おりものは分泌液の排出だけなく様々な役割があります。
膣を清潔に保つ役割
おりものには膣の常在菌であるデーテルライン桿菌(かんきん)が分泌する酸性の乳酸が含まれます。膣内を酸性のおりもので病原菌が膣内に侵入するのを防ぎ、増殖を抑える自浄作用が大切な役割の1つ。おりものは膣を清潔に保つ作用を持ち、病気を防ぐ重要な分泌液です。
受精をサポートする役割
精子は弱アルカリ性。酸性のおりものとは相性が悪く、子宮まで辿り付けずに死滅してしまう事も。そこで女性の体が妊娠可能となる排卵期が近付くと、子宮から分泌されるおりものが弱酸性に傾き精子を保護しながら卵子までの道のりをサポートします。
おりものの受精をサポートする役割は妊娠には欠かせません。
身体の異常を知らせる役割
おりものは女性の体の変化に応じて、様々な影響を受けやすいのが特徴。病気などの異常をいち早く知らせる健康のバロメーターでもあります。
個人差が大きいので一概に病気の兆候と判断するのは難しいものの、通常のおりものと違うと感じた場合は医師の診察を受けるのがおすすめ。中医学漢方ではおりものを「帯下(たいげ)」と呼び、体質を判断する重要な要素としている程です。
おりものが生理周期や年齢によって変化する理由
おりものは生理周期や年齢によって形状や色、量、においなど様々な特徴が変化します。その理由について解説していきましょう。
【理由1】生理周期によるホルモン量の変化
女性の体内では、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)の4つが周期的に分泌され増加・減少します。このサイクルに合わせて起こるのが生理です。おりものはエストロゲンの分泌にほぼ比例して増加・減少するため、生理周期に合わせて色や形状、量、においなどが変化します。
【理由2】年齢によるホルモン量の変化
女性は年齢によってホルモンの分泌量が大きく変化します。初潮と共に女性ホルモンの分泌が始まり、閉経と共に分泌量は減少。おりものの分泌に関係するエストロゲンも例外ではありません。そのため年齢によっておりものの分泌量に変化が起きます。
ホルモンの分泌量が多い人程おりものが多い
おりものはエストロゲンに比例して量が変化するため、おりものの量が多い人はエストロゲンの分泌量が多い人であると言えます。中にはズボンに染みてしまう程おりものが出るという人も。反対におりものが極端に少ない(もしくは全くない)という人は、エストロゲンの分泌に問題がある場合も考えられます。個人差はあるものの、一日中下着を変えずにいて平気な位の量が一般的な分泌量です。
生理周期毎に起きるおりものの変化
生理周期によって変化するおりもの。生理周期によっておりものがどのように変化するのか解説します。
生理周期に起きているホルモンの変化
生理周期のホルモンは以下のように変化します。
卵胞期 | 卵巣にある原始卵胞が卵胞刺激ホルモンの刺激を受けて、卵子になるための発育を始める時期 |
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排卵期 | 卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌量がピークになる。成熟した卵子が飛び出して排卵する時期 |
黄体期 | 排卵した後の細胞が、黄体という組織に変化して黄体ホルモンを分泌する時期 |
生理前 | 妊娠が成立しなかった場合、生理を起こすために準備する時期 |
月経期 | 妊娠が成立しなかったため黄体がしぼんで消え、エストロゲンとプロゲステロンの両方が減少していく。子宮内膜が剥がれて血液と一緒に排出する時期 |
生理周期に起きているおりものの変化
生理周期に合わせておりものは以下のように変化します。
量 | 色 | 形状 | 匂い | |
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卵胞期 |
初期は生理周期中最もおりものが少ない。後期に向けて増加する。
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生理直後は茶~褐色の場合がある。出血がなければ透明。
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初期はサラっとしている。後期に向けて粘性が高まる。
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特に強くない。
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排卵期 |
分泌量が増え、排卵の約2~3日間が最も多くなる。
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透明。排卵出血に伴い血が混じる事がある。
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とろみの強い粘性。卵白のような形状。
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特に強くない。
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黄体期 |
段々と減少していく。
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白やクリーム色等の白濁色。下着につくと黄色に見えることもある。
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粘性が強くなりドロっとした形状。
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ややにおいが強くなる。
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生理前 |
分泌量が増えていく。
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濃い白濁色。
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さらに粘性が強くなりドロっとした形状。
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通常時より強いにおいになる。
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月経期には子宮内膜や血液と混ざり合っているためおりものの状態は確認できません。しかし、おりものはちゃんと分泌されておりエストロゲンの減少と共に量は少なくなっていきます。
年代毎に起きるおりものの変化
続いて年代毎に起きるおりものの変化について解説します。
ホルモン | おりもの | 特徴 | |
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初潮~10代 |
徐々に分泌量が増え始める
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初潮を迎える頃からおりものの分泌がはじまる
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ホルモン・おりもの両方とも分泌が不安定で増減を繰り返す
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20~30代 |
全年代の中で一番分泌量が多くなる
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最もおりものの量が多い年代
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生理周期が安定し、おりもの分泌に規則性が出てくる
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30~40代以上 |
ホルモン量が徐々に減少
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おりものが減少していく
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ホルモンの分泌が減少すると、それにともないおりものの量も減っていく
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閉経後 |
閉経後2~3年で殆ど女性ホルモンの分泌はなくなる
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殆どなくなる
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おりものの減少に伴い膣内部の自浄作用が低下して、トラブルが起きやすくなる
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初潮と共におりものの分泌がはじまり、閉経と共に分泌がなくなっていきます。分泌量もピークを迎える20~30代に向けて増加し30代までにピークを超えると減少していくため、全年代の中でおりものの多い20~30代でおりものの量が極端に少なかったり、おりものがなかったりする場合にはホルモン分泌の異常も視野にいれて検査をしてみるのが良いでしょう。
要注意!病気が疑われる異常なおりものの特徴
おりものはホルモン以外にも、病気によって変化します。おりものの変化は体のSOSという場合も。病気が疑われる危険なおりものの特徴と、おりものの特徴から考えられる病気について解説します。
白っぽくてポロポロしたおりもの
カッテージチーズや木綿豆腐、酒かすや漉したヨーグルトのようなポロポロしたおりものが出る場合、カンジダ性膣炎の疑いがあります。
性感染症の1つでカンジダ・アルビカンスという真菌が原因の膣炎です。原因菌となる真菌は常に膣内にある常在菌の1つ。体の抵抗力が低下したり、妊娠でホルモンバランスが崩れたりする事をきっかけに発症します。
特徴的なおりものと、強い痒みでカンジダ性膣炎を自覚する人が多いでしょう。
治療には膣洗浄と抗真菌薬の膣剤を使用する事が多く、1週間持続するタイプの膣剤で完治するケースが一般的。外陰部の痒みには、抗真菌薬の塗り薬が処方されるケースが多いです。
カンジダ性膣炎による外陰部のかゆみにステロイドや市販のかゆみ止めはNG。痒みが悪化してしまうことがあるので速やかに受診しましょう。
黄緑色で泡状の生臭いおりもの
黄緑色の泡立ったようなおりもので生臭い悪臭がある場合、トリコモナス膣炎の疑いがあります。
トリコモナス膣炎はトリコモナス原虫が膣内に寄生して起こる膣炎です。トリコモナス原虫は感染力の強さが特徴で、便座や銭湯の椅子などからも感染することがあります。
外陰部の強い痒みと腐敗臭にも似た生臭い悪臭が特徴。特ににおいによって異常を感じ受診する人が多い病気です。
治療には抗トリコモナス薬の膣剤を使います。医師の診断によっては内服薬を併用することもありますが、1~2週間で完治する場合が多いです。
濃い黄色のネバネバしたおりもの
濃い黄色のネバついたおりものが出る場合、クラミジア頸管炎の疑いがあります。
クラミジア頸管炎は、クラミジアトラコマチスに感染して発症する性感染症の1つ。性交によって感染が広がりやすく自分が感染している場合は、パートナーも感染している可能性が高いです。パートナーと同時に医師の診察を受けるのが良いでしょう。女性は婦人科または産婦人科、男性は泌尿器科で検査や治療を受けられます。治療には抗生剤を使うのが一般的。
女性の場合おりものの変化以外にも、感染3週間後位から下腹部痛を感じる人が多いです。感染に気付かず長期間放置してしまうと、流産・早産・不妊症・肝臓周囲の炎症などを引き起こし、感染中の出産は新生児結膜炎や肺炎の原因となります。
膿のような黄緑色の悪臭があるおりもの
おりものが膿のような黄緑色をしていて悪臭も発生している場合、淋病性頸管炎の疑いがあります。
おりものにも淋菌が侵食するため、放置するとおりものが触れた部分から他の部位にも感染が広がる場合も。尿道炎、膀胱炎、バルトリン腺炎などを引き起こします。
その他、長期間治療をしないと子宮頸管炎や卵管炎を引き起こし不妊リスクが高まり、感染中の出産は新生児結膜炎を起こす可能性がある恐ろしい病気です。
女性は自覚症状が少なく気付きにくいものの、男性が感染すると2~9日の潜伏期間後尿道炎を起こす傾向にあります。排尿時の痛みや尿道から膿が出ることも。オーラルセックスから口内に感染する場合もあるため、パートナーが感染した場合2人で同時に検査と治療を受けましょう。
治療には抗生物質の注射や点滴治療を行うのが一般的な方法です。感染が広がりやすい病気なので、初期治療がとても重要。普段からおりものをチェックして変化にいち早く気付くようにしておきましょう。
普段とは違う色で悪臭があるおりもの
黄色や黄緑色、茶色など普段とは違う色をしていて悪臭を感じるおりものが出た場合は、非特異性膣炎(細菌性膣炎)の疑いがあります。
疲労やストレスによってホルモンバランスが乱れ、おりものの自浄作用が低下した際に発症しやすい病気。大腸菌・ブドウ球菌・連鎖球菌などのありふれた細菌が増殖して膣が炎症を起こします。原因とされる細菌によっておりものの色が異なるのが特徴です。
外陰部が痒くなり不快感が伴いますが、膣洗浄と抗生物質の膣剤によって1~2週間で完治が可能。かゆみ、色、においに違和感を覚えて受診するケースが多いです。
水っぽいおりものが増える
水っぽいおりものが増える場合、子宮筋腫・子宮内膜ポリープ・卵管がん・卵管水腫・子宮腺筋症などの病気が疑われることも。特ににおいや色に変化がないものの、パンティライナー(おりものシート)でもカバーしきれない位水っぽいおりものが分泌される場合には受診した方が良いでしょう。大きな病気が隠れている可能性もあります。
中でも子宮筋腫は40歳以降の女性の半数にあると言われているため、40代以上の場合水っぽいおりものを感じやすい傾向にあります。子宮筋腫は良性腫瘍であり問題のないことも多いので、まずは水っぽいおりものの原因を検査して調べ子宮筋腫なら医師と今後の治療方針などを相談しましょう。
茶~黒褐色のネバネバした悪臭があるおりもの
茶色や黒褐色でネバついた悪臭のあるおりものが出る場合、進行した子宮頸がんの疑いがあります。子宮頸がんは初期の自覚症状が殆どなく進行によって異常なおりもの、性交時出血、不正出血、下腹部痛、背骨・腰・下肢の痛みを感じるようになるケースが多いです。
異常なおりものに気付いて受診したものの、既に子宮頸がんが進行してしまっていたという人も珍しくありません。初期に自覚症状の無い子宮頸がんは定期的な検診を受けることが早期発見に繋がります。
悪臭がある不正出血と膿のようなおりもの
悪臭のある不正出血と膿のようなおりものが出る場合には、子宮がんの疑いも。おりものに異常が出ている場合既に進行している事が多く、子宮頸がんと同じく定期的な検診による早期発見がとても重要です。
血が混ざったおりもの
生理前や排卵出血、不正出血などによりおりものに血が混じることは珍しくありません。しかし、子宮頸管ポリープや卵管がんを発病している場合にもおりものに血が混じる場合があります。
血が混じったおりものが長く続く場合には医師の診察や検査を受けるのがおすすめです。
おりものの量が増える
色もにおいも普段と変わらないものの、急におりものが増える場合、子宮膣部びらんの疑いがあります。
子宮膣部びらんは子宮頸管内部の粘膜が赤くただれてしまっている状態ですが、成熟期の女性の約8割に見られる症状です。体質が関係していて、病気ではありません。
ただれた部分でばい菌が増えないよう、自浄作用のあるおりものが増えますが自然に治癒していく場合がほとんどです。気になる場合はパンティライナーで対処し、清潔に保つようにしましょう。
おりものが出ない
おりものが全く出ない場合、エストロゲンの分泌に問題がある場合も。40代後半や閉経後であれば自然な状態ですが、本来女性ホルモンの分泌が盛んになる20~30代は注意が必要です。おりものが全くなく無月経であれば至急受診しましょう。
普段のおりものをよく観察しておこう
身体の様々な状態を伝えてくれるおりもの。おりものの変化は生理周期を予測できたり、いち早く異常に気付いたりする目安になるでしょう。特に病気の場合は早期治療を施すことで、病気を他人にうつしてしまうことや悪化してしまうトラブルも防ぎやすくなります。生理周期や体のSOSに気付けるよう、普段からおりものを良く観察する習慣を付けてみて下さいね。
当院では、性感染症の検査・治療を実施しておりますので、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
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