ピルの服用をやめるタイミングはいつ?身体に起こる変化と注意点
生理のコントロールや生理痛をはじめとする症状の改善、避妊などができる低用量ピル。女性のQOLを高める効果も期待でき、世界中で服用されています。
しかし、さまざまな理由や目的によってピルの服用を中止したいと思う人もいるでしょう。この記事では、ピルをやめるタイミングや注意点、やめたことで起こる可能性の症状などについても詳しく解説します。
ピルをやめたいと思っている人はもちろん、これからピルの服用をはじめようと考えている人も、ぜひ参考にしてみてください。
ピルをやめるタイミングとは
ピルは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を含むホルモン薬です。これらのホルモンは、摂取をやめたとしても身体に特別な問題はないことが分かっています。
つまり、ピルはやめたいときにいつでもやめられるお薬ということ。ただし、生理にかかわる症状を改善する目的や病気の治療を目的として服用している人は、医師とよく相談してやめるようにしましょう。
ピルをやめた方がいい人の特徴
以下に当てはまる人はピルをやめた方がよいでしょう。中にはピルの服用が禁忌とされるケースがあるため、これらの特徴があって現在ピルを服用している人は医師に相談してください。
- 妊娠した疑いのある人
- 妊娠を希望する人
- 閉経した人
- 40歳以上の年齢になった人
- 強い副作用が改善されない人
- 乳がんや重度の肝障害などの病気になった人
- 直近で手術を受ける予定のある人
低用量ピルは妊婦への処方が禁止されています。しかし、妊娠に気付かずピルを服用しても重大な問題があらわれる可能性は非常に低いと言われています。妊娠を疑った段階でピルの服用を速やかに中止し、医師に相談するのがよいでしょう。
ピルをやめるとどうなる?
ピルの服用をやめると、身体には以下の変化があらわれます。
生理が再開する
ピル服用中に起こっている出血は「消退出血」で、厳密には生理と異なります。ピル服用中は、休薬期間を挟むことで人工的に消退出血を起こしています。一方、生理は自然に起こる子宮内膜の剥離・排出です。
早い人は1~2ヶ月、遅い人でも3ヶ月ほどで、生理が再開するケースが多いでしょう。
ピルの服用を中止すると、最初に消退出血が起こります。生理の再開は次回の出血からカウントします。3ヶ月経過しても生理が再開しない場合は、何らかの異常がある可能性もあるため病院を受診してください。
排卵が再開する
ピルの服用をやめると、ホルモン薬の作用によって中止されていた排卵が再開し、約90%の確率で3ヶ月以内に排卵が再開されるというデータもあります。
ただし、生理が起こることと排卵することは別の現象です。生理が再開したからといって、必ずしも排卵が再開されている訳ではありません。妊娠を目的にピルの服用をやめたにも関わらず妊娠しないなどのケースでは、正常に排卵が起こっているのか検査を受けるのがおすすめです。
排卵の有無や妊娠のしやすさなどは、ピルの服用期間と関係しないことが分かっています。長期間ピルを服用していた場合でも、排卵や妊娠は条件が整えばピルを服用していない人と同じ確率で起こるでしょう。
ピルをやめるときの注意点
ピルをやめるときには以下の点に注意してください。
今飲んでいるシート分を飲み切ってからやめる
何らかの理由で迅速にピルの服用を中止しなければいけない場合を除き、ピルは今飲んでいるシート分を飲み切ってからやめるのがおすすめです。
ピルは1シートで1ヶ月のホルモンバランスをコントロールするようにホルモン薬が配合されています。1シートを飲み切れば服薬終了後2~3日以内に消退出血が起こり、初回の生理再開期間を把握しやすくなるでしょう。
シートの途中で服用をやめても大きな問題はないため、強い副作用や血栓症の初期症状がみられるなど止むを得ない場合には即時服用を中止してください。
ピル服用前の症状が再発する可能性がある
月経困難症やPMSなどの症状緩和を目的としてピルを服用している場合、やめた後に症状が再発する可能性があります。
ピルの服用をやめたあと、月経困難症やPMSの症状が再びみられる場合には医師に相談してください。
抜け毛が増える可能性がある
ピルをやめた場合、体内の卵胞ホルモン(エストロゲン)量が急激に減少することで、抜け毛が増える人もいます。多くの場合、一時的なもので時間の経過と共に抜け毛も減少します。
改善されない場合は、他の原因も考えられるため専門クリニックなどの受診がおすすめです。
ニキビが増える可能性がある
ピルには肌荒れやニキビの改善効果も期待できます。これは、ピルに含まれるホルモン薬の作用です。ホルモンバランスが整えられ、保湿作用や抗酸化作用を促す卵胞ホルモン(エストロゲン)が充分に補給されるのも理由のひとつといえます。
これらのホルモン量が減少することで、ニキビや肌荒れが起こる可能性もあります。ニキビや肌荒れの改善を目的にピルを服用している人の場合、症状が再発してしまうこともあるでしょう。それ以外の目的でピルを服用している人は、自然に症状は改善されることが多いです。
ピルをやめたあと服用を再開するなら医師に相談しよう
一度ピルをやめたものの、再開したいと思う人もいるでしょう。
ピルでもっとも重大とされる副作用・血栓症は、服用開始4ヶ月以内の発症率が高いことがわかっています。中止と服用を繰り返すと、毎回ハイリスクな期間を過ごすことになるため注意が必要です。
ピルの再開を希望する場合、医師に相談してから再開してください。
まとめ
重い生理痛を緩和したり、女性主体の避妊が可能なピルは、今後も服用を検討する女性が増えていくことでしょう。便利な薬だからこそ、やめるタイミングややめ方もしっかりと理解して服用するのがおすすめです。
不安なくピルを使えるよう、ピルについての正しい知識を知っておいてくださいね。