ピルを飲むと太るって本当?太ると言われる理由を解説!
病気の治療や避妊、生理周期の調整にピルを使いたいと考えているものの「ピルを服用すると太る」という噂を聞いて二の足を踏んでしまう人も少なくありません。この記事では、ピルがどのような薬なのか詳しく解説。ピルを服用すると太ると言われる理由や対策の他、ピルについての正しい知識等を紹介しています。 「ピルを飲むと本当に太るのか知りたい。」「ピルを使いたいけど、どんな薬なのかよくわからない。」という人はぜひ参考にしてみて下さい。
ピルってどんな薬?
ピルは黄体ホルモンと卵胞ホルモンを含むホルモン薬です。ピルによって体内では妊娠時に似たホルモンバランスとなり、排卵をストップさせることが可能。月経に関する症状改善や病気の治療、避妊など様々な目的で使用されています。
病気の治療を目的とした使用
ピルはPMS(月経前症候群)・ニキビ・生理痛・生理不順等の治療薬として処方されることがあります。その他にも子宮内膜症や子宮体がんのリスク軽減、40代以上の方に向けて更年期障害・骨粗鬆症・高血圧の予防や改善を目的として処方されることも。様々な症状に処方されることがあるホルモン薬です。 PMS・生理痛・生理不順などの治療に関しては、ピルで排卵を止めて月経が関わるトラブルを抑制しているので、服用を止めると症状が再発する場合もあるでしょう。 しかし、周囲の理解を得難い月経トラブルで毎月辛い思いをしている人にとっては、状態を改善できる薬として注目を集めています。
避妊を目的とした使用
ピルは排卵を止めてしまう作用をもつため、服用中は妊娠できません。この作用を活用した「経口避妊薬」としてもピルは広く知られています。むしろ「ピルは避妊のためのもの」と認識している人の方が多いかもしれません。 ピルは99%以上の確率で妊娠を防ぐことができるため、望まない妊娠をしないように服用を希望する人も多いです。しかし性感染症を防ぐことはできないため、避妊の際にはコンドームとの併用が推奨されています。
生理周期のコントロールを目的とした使用
スポーツをしている人や、大切な用事を控えている人が生理周期のコントロールを目的としてピルを服用することもあります。ピルを飲んである程度の生理周期をコントロールできるため、スポーツ選手が大会の日に生理が重ならないよう服用したり、旅行の日と生理予定日が重なるためにピルを使って月経をずらしたりする場合の服用も珍しくありません。
ピルの分類
ピルには含まれる成分の濃度によって【高容量ピル】【中容量ピル】【低用量ピル】と分類されます。
ピルの分類 | ホルモン含有量 | 使用用途の例 |
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高用量ピル |
50マイクログラム以上
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酷い生理痛・生理周期のコントロール・無月経・月経困難症などの治療等
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中容量ピル |
50マイクログラム
|
緊急避妊薬・不妊治療等
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低用量ピル |
50マイクログラム未満
|
経口避妊薬・生理トラブルの改善・生理コントロール等
|
2000年に低用量ピルが認可されてからは、多くの場合で副作用のリスクが最も低い低用量ピルが使われるようになりました。
ピルの服用で太る理由
ピルを服用すると太ると聞いたことがある人も少なくないでしょう。結論から言うとピルを飲んだから太るという訳ではありません。医師向けの低用量ピルに関するガイドラインでも、低用量ピルと体重増加に関する因果関係は立証されなかったという内容が記載されています。
では何故「ピル=太る」と言われているのかについて解説していきます。
保水作用によるむくみで太ることがある
ピルに含まれるエストロゲンというホルモンには高い保水作用があります。そのため、ピルを服用すると体内に不要な水分が溜まりやすくなり、むくみによって体重が増えてしまうことがあるでしょう。 しかし、低用量ピルではエストロゲンの含有量も少なくなっているため、むくみも起こりにくくなっています。ピルの副作用によるむくみは1~2カ月で自然と解消されることが多いため、太ったと感じるのも一時的なものでしょう。
食欲増進による食べすぎで太ることがある
ピルに含まれる黄体ホルモンには食欲増進作用があります。必要以上に食事を摂ってしまうことで体重増加に繋がってしまうことも。 こちらも、エストロゲンの水分保水作用と同じく1~2カ月で落ち着いてくることが多いです。服用を始めて直ぐの頃は、特に食べすぎに注意しましょう。服用を始めた最初の1~2カ月間に食欲を我慢することで体重増加を避けるができるでしょう。
ピルで太るのを防ごう!対策方法3つ
ピルで太ると言われるのは、エストロゲンによる保水作用と黄体ホルモンによる食欲増進作用が原因。これらの副作用を考えた上で、太るのを防ぐために効果的な3つの方法を紹介します。
【ピル太り対策1】食べすぎを防ぐ
黄体ホルモンの副作用による食欲増進を防ぐためには、以下の点に気を付けましょう。
- 食事の際はよく噛んで食べる
- 1回の食事量を減らして食事回数を増やす
- 必要以上に高カロリーの食事を摂らないようにする
- 間食を摂る際には、ナッツ類などの太りにくいものを食べる
黄体ホルモンによる食欲増進の対策に必要なのは食べ過ぎないこと。しかし、必要な栄養は適切に摂取する必要があるので、あくまで健康的な食生活を摂りながら食べすぎを防ぎましょう。
【ピル太り対策2】むくみを防ぐ
むくみの対策には以下の方法があります。
- 適度に運動をする
- ビタミン・ミネラル・たんぱく質を適度に摂取する
- 塩分とアルコールの摂取を控える
- 身体を温める
- 長時間同じ体勢でいないようにする
基本的なむくみ対策ですが、ピルを飲み始めた1~2カ月の間に意識して対策をすることでむくみによる体重増加を防ぐ効果が期待できます。また、これらの対策をとることでピルを服用する際の血栓症リスク軽減に繋がります。日々の生活の中で意識してみましょう。
【ピル太り対策3】ピルの種類を変える
ピルは副作用を出来る限り抑えるために、様々な種類の薬品が開発されています。対策をしても太ってしまう場合には、ピルの種類を変えてみるのもおすすめです。服用目的に添いつつ、自分の体に合ったピルを探してみて下さい。
ピルについて知ろう!よくある疑問と解説
ピルは「避妊のために使う薬」「副作用が強い薬」など、その正しい知識を知られていない部分が多いです。確かに避妊を目的とした使用をする場合もあるし、副作用がでることもあります。しかし、現在は様々病気や症状の改善薬として処方され、出来る限り副作用が出ない薬も認可を受けています。 ピルについてのよくある疑問から、正しい知識を得てピルを服用しましょう。
ピルの副作用にはどんなものがあるの?
ピルの副作用には以下のような症状があります。
- 吐き気
- 頭痛
- 乳房の張り
- 不正出血
- むくみ
- 食欲増進
多くの症状が飲み始め1~2カ月に現れやすく、体がピルに慣れると共に軽減していくでしょう。不正出血は全体の20%という多くの人に見られる症状なので、ガイドラインによると3カ月間は様子を見ても良いと記載されています。特に服用周期の後期に飲み忘れてしまった場合、不正出血が起こりやすいので注意が必要です。 その他にも10,000人に対して3~9人という少ない確率ではあるものの血栓症のリスクがあることも報告されています。特に肥満、喫煙、高齢、家族に血栓症患者がいる場合にはハイリスクになるとして、ピルの処方ができないことも。血栓症は心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症などを引き起こす死亡率も高い病気なので、自分がハイリスクかどうか医師による診断を受けてから処方してもらうことが大切です。
ピルと不妊は関係がある?
ピルは排卵を止めるという性質から、服用を続けると不妊になるのではないかと心配する人も少なくないでしょう。これは偏見で、ピルと不妊は全く関係がありません。寧ろ、ピルは不妊治療で処方されることもある薬品です。 ピルは服用をやめれば自然と排卵が再開し妊娠が可能。服用を止めてから35日までに月経が再開する人の割合は80%、6ヵ月以内には99%の割合で月経が再開します。 胎児への先天性異常にも影響はないという研究結果が出ているので、将来的に妊娠を希望している人も安心して服用できる薬です。
ピルは何歳から使える?
ピルは医師が診断して服用が必要だと判断されれば10代から処方される薬です。思春期の月経困難症などにも処方されることがあるので、まずは医師の診断を受けるのが良いでしょう。 しかし40~50代になると血栓症のリスクが高まる危険性があります。そのため50代の服用は禁忌。そもそも閉経が近くなり体内のホルモン量に大きな変化が起こりやすい50代以降は、様々な症状や病気の治療に必ずしもピルを使用する必要がなく、副作用リスクの低いホルモン剤で症状を改善できることが多いでしょう。
ピルを処方してもらうには診察が必要?
避妊を目的としての処方を希望する場合は、必ずしも医師の診察が必要という訳ではありません。しかし多くの病院では問診・血圧の測定・体重の測定などを行うようです。 様々な病気や症状の改善としてピルの服用を希望する場合は、病気や症状に合ったピルの処方が必要なので医師の診察が必要になります。
ピルで生理周期を調整したい場合はいつ受診する?
様々な理由で生理周期を調整するためにピルの処方を希望する場合には、月経を起こしたいタイミングによって受診の時期が異なります。 月経を通常よりも早める場合には、変更を希望する月の前月に起こる月経5日目までに受診しましょう。月経を通常よりも送らせる場合には、ギリギリでもピルで対応できることがありますが、月経予定日の5~7日前までに受診するのがおすすめです。
ピルは他の薬とも併用できる?
ピルを服用する際に気になるのが、普段から服用している薬品との飲み合わせ。基本的には受診した際に医師に併用の確認をするのがおすすめです。 ここでは、一緒に服用すると何らかの影響を与えてしまう可能性が高い薬について紹介します。ここで紹介した薬を既に服用している場合は、医師に申告することを忘れないようにしましょう。
- 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
- 喘息の薬(気管支拡張剤:テオフィリン)
- 抗生物質(ペニシリン・テトラサイクリン)
- セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)を有する食品
- うつ病の薬
- 免疫抑制剤
- 高血圧の薬
- 結核の薬
- てんかんの薬
- 胃酸を止める薬
- 真菌症の薬
- 糖尿病の薬
- HIVの薬
- モルヒネ
- 消炎鎮痛剤
かぜ薬や解熱鎮痛薬、胃腸薬、便秘薬、抗アレルギー剤、漢方等は併用しても問題ないとされていますが、日常的に服用している薬があれば医師に尋ねてみた方が安心してピルを服用できるでしょう。
ピルの処方は保険適用される?
ピルは治療を目的とした処方の場合のみ保険適用となります。避妊や生理周期のコントロールは病気ではないため保険適用外となります。 それぞれに処方されるピルの種類や呼び方が異なっているのも特徴の1つです。
病気の治療を目的とするピル(LEP) | ルナベル、フリウェル、ヤーズ、ヤーズフレックス、ジェミーナなど |
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避妊を目的とするピル(OC) | マーベロン、ファボワール、トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユなど |
ピルはインターネットでも購入できる?
近頃インターネットで販売されているピルを目にすることがありますが、本来ピルは医師の処方箋がない限り売ってはいけないもの。日本では医師による処方箋のない状態でピルを販売した場合、薬機法違反になります。 法律の抜け穴を狙って個人輸入代行業者が海外のジェネリック薬を通販している場合もありますが、そこで販売されたピルが本物かどうかを確認する術はありません。偽物を服用して望まない妊娠をしてしまったという話もあります。品質の保証ができないため、適切な医療機関で処方してもらいましょう。
太るのはピルが直接的な原因じゃない!正しい方法で服用しよう
ピルを飲むと太ると言われる理由は、ピルに含まれるエストロゲンと黄体ホルモンにありました。しかしホルモンによるむくみや食欲増進の副作用は個人差があり、適切な対策をしながら身体がピルに慣れるのを待てば急激に太ってしまうことは少ないでしょう。 まだまだ偏った認識を持たれていることも多いピル。正しい知識を持って服用することで、これまで我慢していた月経にまつわる症状を緩和できることもあります。医師による適切な処方を受けて、正しく服用し病気の症状改善や避妊・生理周期のコントロールをしましょう。
当院のピルはすべて完全自由診療にて処方しておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
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