【月経困難症】重い生理とはおさらば!実はピルで治療できるって知ってた?
現代女性の約7割に症状が見られると言われている月経困難症。しかし「生理は痛いもの」という認識のせいで受診をせず我慢をしている女性が多く、中には日常生活に支障をきたしている人も。
この記事では月経困難症について徹底解説。月経困難症のセルフチェック項目や症状の他、治療に最適と言われるピルについても紹介。
「生理が重い方だけどこれって月経困難症なの?」
「月経困難症ってどうやって治療するの?」
という疑問を持っている人は参考にしてみて下さいね。
こんな症状なら受診をしよう【月経困難症セルフチェック】
女性の生活の中で切っても切り離せない生理。女性同士でも生理について話し合う機会は少なく、自分の生理が普通かどうかは中々判断し難いものです。
まずは以下の項目を確認してみて、自分の生理に問題があるかどうかをチェックしてみましょう。
- 生理痛が酷くて学校や会社を休んだことがある
- 生理が来るたびに市販の鎮痛剤などを服用している(鎮痛剤が効かないこともある)
- 生理痛が徐々に悪化している
- 生理じゃない時でも背中や腰に痛みを感じる
- 生理中吐き気を催すことがある
- 経血の中にレバーのような赤黒い大きな塊がある
- 生理期間が長く10日以上続くこともある
- 頻繁に不正出血がある
- 妊活を初めて1年以上妊娠していない
上記の項目に多く当てはまる場合、あなたの生理には何らかの問題があり月経困難症が疑われる可能性があります。
「痛いのは当たり前」は嘘!正常な生理の基準
生理というと多かれ少なかれ痛みを伴うイメージを持つ人も多く、人によって痛みの感じ方は異なります。「生理痛」という言葉が一般的である事から「生理は痛くて当たり前」と考えている人も少なくありません。
一般的に正常な生理は以下のような状態を指します。
- 生理の期間は3~7日
- 経血量は20~140ml、平均50~60ml
- 生理周期は25~38日
生理期間が2日以内の場合は過少月経、8日以上の場合は過長月経となります。
経血量は生理期間中の目安なので判断が難しいものの、ある有名な生理用品メーカーでは普通の日用のナプキンで吸収できる経血の最大量が60ccだそうです。つまり、1時間ごとにナプキンを変えないと経血が漏れてしまう状態は明らかに経血過多であるといえます。
経血の吸収量はナプキンによっても異なるので、自分が使っているナプキンの最大吸収量を確認し目安として考えてみましょう。
月経困難症とは
生理の日数や経血量は正常値と比較しやすいですが、痛みは感じ方が人それぞれ。そのため月経困難症は未受診で放置されているケースも多く、生理のある女性の7割は月経困難症の可能性があるとも言われています。
月経困難症は「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」に分類され、生理に伴って起こる症状が通常よりも酷い状態を指します。続いて、月経困難症につい詳しく解説していきましょう。
機能性月経困難症
機能性月経困難症は、特定の疾患や原因がなく生理による症状が重い場合の月経困難症を指します。特定の疾患が無いにも関らず、生理痛が酷い、経血量が多い、腰痛や吐き気が酷いなど、通常生理に伴う症状が日常生活に影響を及ぼす場合は機能性月経困難症を疑います。
器質性月経困難症
子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が原因で生理症状が重くなる月経困難症を器質性月経困難症と言います。特に子宮内膜症の人は月経困難症を併発しやすく、子宮内膜症患者の約9割は月経困難症を発症しているとも言われています。
月経困難症の症状
月経困難症の症状には経血過多や下腹部痛の他、強い眠気、頭痛、イライラ、吐き気、貧血、食欲不振などもあります。生理が始まると学校や職場で我慢できない程の眠気に襲われる場合や、自分でコントロールするのが難しい位イライラする人も、月経困難症の可能性があります。
月経前症候群(PMS)との違い
月経困難症と似た病気で月経前症候群(PMS)というものがあります。月経前症候群は、月経の3~10日前に下腹部痛や腰痛、頭痛、めまい、肌荒れなどの症状を発症し、生理開始と同時に症状が収まります。
月経前症候群は月経前緊張症とも呼ばれ、近年段々と知名度を挙げている症状の1つですが、生理期間中の不調である月経困難症とは全く別の症状と言えるでしょう。
月経困難症を放置するとどうなる?
これまで生理痛をはじめ、生理に関する症状は「仕方のないもの」「我慢するもの」という認識していた女性も多かったことでしょう。しかし近年の研究結果では、生理による強い痛みを我慢し続けると症状が慢性化し、治療が困難になるケースがあることが分かっています。
その他にも器質性月経困難症の場合、子宮筋腫や子宮内膜症を放置することにも繋がります。子宮筋腫や子宮内膜症は、放置すると不妊症の原因となることも。月経困難症というサインを見逃さず、原因を探り治療するきっかけとすることが大切です。
月経困難症は現代病の一面も
当たり前のことですが昔の女性にも現代の女性と同じく生理がありました。しかし、ひと昔前は月経困難症という病気は殆ど無かったと言われています。それは、昔の女性の生涯出産回数の多さにありました。
過去に遡れば遡る程、女性は出産可能な年齢に達すると閉経まで子どもを産み続ける事例が多く、明治や昭和初期では5人以上子どもを産んだという女性も珍しくは無かったことでしょう。頻繁な妊娠、出産に伴い昔の女性は生理の起こる回数自体が少なかったと言えます。
現代女性は初潮から初めて出産するまでの期間が長く空く上、妊娠・出産回数が昔と比較すると少なく、生涯妊娠をしないという人もいます。単純に生理の回数が昔とはけた違いに多くなったという訳です。
月経困難症は生理の回数増加に伴い症状が出ることが分かっており、少子化や女性の社会進出などで妊娠が減った現代病としての一面もあると言えるでしょう。
月経困難症に悩む人が増える一方で治療方法は様々なケースに合わせて研究が進んでいます。最新の医学により症状の改善方法はもちろん、生理回数を減らすことが月経困難症の治療として効果的であることが分かってきました。
月経困難症の治療にはピルがおすすめ
ピルとはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を配合し、排卵の抑制や子宮内膜の増殖を抑えることができる薬です。月経を軽くしたり、月経回数自体を減らしたりできることから月経困難症の症状改善に用いられることがあります。
経口避妊薬としての知名度が高いですが、避妊を目的としたピルは「OC」、月経困難症をはじめとする病気の治療を目的としたピルは「LEP」として分類され、LEPは保険適用されるケースも。
生理を軽く、生理回数を減らすことが効果的とされる月経困難症においてLEPは低リスクで高い効果が期待できる処方薬として注目されています。
月経困難症の治療に使われるピル治療薬の種類
月経困難症の治療には現在「ルナベル」「ヤーズ」「ジェミーナ」という3種類のピルが用いられます。それぞれの特徴や服用方法を簡単に紹介していきましょう。
エストロゲン配合量/錠 | 1シートの錠剤数 | 服用方法 | |
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ルナベルLD(後発薬フリウェルLD) |
33μg
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21錠
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1シート(21錠)毎日1錠服用。1シート飲み終わったら7日間の休薬期間をおく。休薬期間後次のシートをはじめる。
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ルナベルULD(後発薬フリウェルULD) |
20μg
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21錠
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1シート(21錠)毎日1錠服用。1シート飲み終わったら7日間の休薬期間をおく。休薬期間後次のシートをはじめる。
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ヤーズ配合錠 |
20μg
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28錠(内4錠プラセボ)
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1シート(28錠)をシートの順番通り毎日1錠服用。1シート飲み終わったら次のシートをはじめる。
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ヤーズフレックス |
20μg
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28錠
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1シート(28錠)を毎日1錠服用。25日目以降に3日以上の出血があった場合、もしくは連続服用が120日に達した場合は4日間の休薬期間をおく。休薬期間後次のシートをはじめる。
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ジェミーナ28 |
20μg
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28錠
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毎日1錠ずつ28錠シートを2シート連続服用後、続けて21錠シートを服用。3シート(77日間)服用後、7日間の休薬期間をおく。休薬期間後次のシート(3シート77錠分)をはじめる。
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ジェミーナ21 |
20μg
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21錠
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1シート(21錠)毎日1錠服用。1シート飲み終わったら7日間の休薬期間をおく。休薬期間後次のシートをはじめる。
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月経困難症の症状改善にピルを用いることで生理を軽くできる他、生理周期を長くして生理の回数自体を減らすことができるのも大きなメリットの1つです。
特にヤーズフレックスは最長120日、ジェミーナ28は最長77日生理を止めることができます。
【薬で生理回数を減らしても大丈夫?】生理は毎月必要ではない
ピルを長期間使って生理の回数を減らす方法を聞くと、どうしても気になるのが健康面の問題。
「生理って毎月こないとダメなんじゃないの?」
「ピルでずっと生理を止めて体に悪くない?」
こんな不安を感じている人は安心してください。妊娠を希望していないのであれば生理は毎月来なくても良いし、健康面でも問題はないと言われています。
正常な生理周期は25~28日ですが、ピルを使って健康な状態をコントロールできているのであれば120日や77日などの長期周期でも問題ありません。妊娠を希望していない女性にとって、生理は毎月必要ではないということです。
しかし、ピルを服用していないにも関らず2~3ヵ月に一度しか生理が起こらなかったり、3ヵ月以上生理が止まってしまったりしている状態は生理不順や無月経といった子宮からのSOSかもしれません。生理が毎月来なくても大丈夫なのは、あくまで薬でコントロールできている状態だからこそという事も忘れずにいましょう。
ピルの副作用
ピルの服用を考えると同時に気になる副作用。これはピルに限らずどんな薬にでも言えることです。ピルの副作用には以下のような症状が挙げられます。
- 軽度の吐き気
- 乳房の張り
- むくみ
- 不正出血 など
これらマイナートラブルとも呼ばれる副作用は1シート飲み終わる頃に消失する場合が多く、ピルの種類を変えることで副作用が改善されるという人も少なくありません。
また、ピルの副作用で最も危険視されているのが【血栓症のリスク上昇】というもの。血液の中で血の塊ができて正常な血流を妨げてしまう血栓症。場合によっては命に係わることもある病気です。
ピルを飲んでいない人の血栓症リスクは1万人に1~5人、妊娠中は1万人に5~20人という研究結果があります。一方でピルを服用している人が血栓症になるリスクは1万人に3~9人。健康な人がピルの服用で血栓症のリスクに侵されるのは非常に稀な確率ということが分かりますね。
ただし、既に血栓症リスクの高い【40歳以上の人、重度の喫煙者、血栓症にかかったことのある家族がいる人、高血圧の人など】は、ピルの服用によって血栓症リスクが20倍以上も増えてしまうことから服用を禁止されています。
妊娠を希望する場合やピルが効かない場合の月経困難症の治療方法は?
月経困難症の治療に有効なピルですが、直近の妊娠を希望している人や体質的にピルを使えない・ピルでは効果が感じられない人は医師と相談の上他の治療方法を選ぶこともできます。月経困難症の治療にはピルの他にも様々な方法を選択可能です。
- 漢方
- 黄体ホルモン薬(ディナゲスト錠0.5mg、デュファストンなど)
- 子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ52mg)
- 非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDsなど)
直近の妊娠を希望しているか、血栓症リスクはないかなど、その人に合わせた方法があるので医師に相談してみると良いでしょう。
まとめ
女性の生活に密接している生理。生理に伴う不快症状には個人差が伴うからこそ、我慢はせずに症状の緩和ケアをすることが大切です。痛みやだるさ、眠気などの症状は特に他人と比較できるものではないので、自分が辛ければ「月経困難症かも?」と考えてみるのが良いかもしれませんね。生理と上手く付き合っていくためにも、生理について困っていることがあるならまずは医師に相談してみましょう。
当院のピルはすべて完全自由診療にて処方しております。病気の治療を目的とする保険診療でのピル処方をご希望の方は、隣接するグループクリニックをご紹介することもできますのでお気軽にご相談ください。