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コラム

B型肝炎の症状や感染経路・ワクチンなどの予防方法をわかりやすく解説!

B型肝炎の症状や感染経路・ワクチンなどの予防方法をわかりやすく解説!

私達の身近な感染症のひとつにB型肝炎があります。B型肝炎は、感染状況によって劇症化や生涯感染状態が続く持続感染を引き起こすこともある恐ろしい病気です。

しかし、正しい予防方法を知っていれば対策が可能な感染症と言えるでしょう。正しい知識や感染対策を知り、B型肝炎を予防することが大切です。

この記事ではB型肝炎がどのような病気なのか、感染経路、検査方法や治療方法、予防方法なども分かりやすく紹介します。

B型肝炎とは

B型肝炎とはB型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus:HBV)に感染することで起こる病気です。肝臓に症状が現れ、肝炎や肝硬変、肝不全などを引き起こすこともあります。

世界では2億4,000万人ものB型感染キャリアがいて、日本でも約110万人以上の感染者がいると言われています。

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、病気になっても自覚症状のないケースが珍しくありません。B型肝炎に感染しているにも関わらず自覚症状がなく、肝硬変や肝不全など深刻な病状が現れてから病気の存在に気付く人もいます。

B型肝炎は治るの?

B型肝炎には2パターンの感染があります。一過性感染の場合は完治する可能性がありますが、持続性感染の場合は生涯に渡り感染状態が持続してしまいます。持続性感染の場合、完治は難しいでしょう。

分娩の際に母親から子どもへと垂直感染でB型感染ウイルスに感染した場合や、3歳未満で感染した場合、持続性感染を起こしやすいと言われています。

感染した年齢 持続性感染を起こす確率
1歳以下 80~90%
6歳以下 30~50%
成人 1~5%

成人になってからB型肝炎に感染した場合、多くは一過性感染で完治可能です。ただし、成人がB型肝炎を持続性感染した場合、20~30%の確率で肝硬変や肝がんなどを起こすと言われています。

B型肝炎の感染経路

B型肝炎の感染経路は、垂直感染と水平感染に分けられます。

垂直感染 出産時に母親から新生児へと感染する(母子感染)
水平感染 血液や粘膜など体液を介して感染する

  • 性行為
  • ウイルスに感染した血液や体液が傷口に付着する
  • ウイルスの付着した不衛生な医療器具を使用する

B型肝炎ウイルスは体外でも7日間に渡り感染力を持つと言われています。そのため、感染者の血液を扱う際には特に慎重な対応が必要です。

過去には、集団予防接種の際に注射器が使い回されたことでB型肝炎ウイルスへの集団感染を起こした医療事故も報告されています。

輸血によるB型肝炎ウイルスへの感染も危惧されますが、現在日本国内で輸血に用いられる血液は、全てHBV検査が行われています。ただし、検査をしても100%感染を防ぐことは難しく、年間10例未満の輸血によるB型肝炎ウイルス感染が報告されているのも事実です。

一方で、日常生活や食事、入浴を一緒にするといった行為では感染しないことも分かっています。

B型肝炎の症状

B型肝炎の症状は、B型急性肝炎とB型慢性肝炎に分けられます。それぞれの症状についてみていきましょう。

B型急性肝炎

B型急性肝炎の症状は以下のとおりです。

潜伏期間 1~6ヵ月
症状 倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸など

肝臓に炎症を起こすと、体内の栄養吸収を助ける器官が働かなくなることで全身にさまざまな症状が現れます。特に、胆汁色素が血液中で増加してしまうことで起こる黄疸の症状は、肝臓に何らかのトラブルが起きた際に見られる代表的な症状のひとつです。

皮膚や粘膜などが黄色く変色するため、白目が黄色くなったことで気付く人もいるでしょう。一般的な急性肝炎は数週間で回復しますが、劇症化すると肝不全などを引き起こし死に至るケースもあります。

B型慢性肝炎

B型慢性肝炎の症状は以下のとおりです。

潜伏期間 数年~数十年
症状 倦怠感、食欲不振、褐色尿など

B型慢性肝炎は小児の感染例が多く、免疫機能が未発達な内は目立った症状や異常が現れにくい傾向にあります。免疫機能が発達した10~30代で一過性の肝炎を起こすことが多く、発症後はB型急性肝炎と同じく数週間で回復期へと向かいます。

しかし、B型慢性肝炎の場合はB型肝炎ウイルスが完全に消失することはなく、80~90%の感染者は非活動性キャリア(ウイルスが体内に存在するけれど、症状などは現れない状態)になります。また、10~20%は慢性的に肝炎が持続し、肝硬変や肝臓がんを引き起こす例も報告されています。

B型肝炎の検査方法

B型肝炎の検査方法

B型肝炎の検査方法は主に血液検査で診断を行います。ただし、血液検査によって肝炎の可能性が高いと診断された場合には、さらに肝臓の機能を調べるさまざまな検査を行います。

続いては、それぞれの検査方法についてみていきましょう。

抗体検査

B型肝炎ウイルスの有無を調べるために、血液検査を行い血中の抗体を調べる方法で感染の有無を判断できます。血中のHBs抗原が陽性であった場合、高い確率でB型肝炎ウイルスへの感染が疑われます。

また、HBs抗原と共にHBe抗原の有無も検査をするのが一般的です。HBs抗原が陽性かつHBe抗原が陰性の場合、他人への感染力が強いと考えられ家族やパートナーなど感染リスクのある人も検査を受けることが勧められるでしょう。

検査を受けられる医療機関

B型肝炎の抗原検査は、比較的一般的な検査です。大抵の医療機関で対応可能で、当院においても検査を行うことができます。

検査の費用相場

抗原検査の費用相場は、約3,000~5,000円です。すでにB型肝炎が疑われる症状が発症している場合は健康保険が適用されるケースもありますが、それ以外のケースでは自由診療の検査となるケースが多いでしょう。
当院でのB型肝炎の検査は3,000円になります。

肝機能検査

抗原検査を行いB型肝炎ウイルスへの感染が認められた場合、肝炎症状の有無や肝炎の進行具合を調べるために肝機能検査を行うケースもあります。

肝機能検査は血液検査によって炎症の程度などを調べることもできますが、場合によっては超音波エコーやMRI、CTなどを用いることもあります。

検査を受けられる医療機関

超音波エコーやMRI、CTなどを用いて検査を行う場合、それらの設備が整った医療機関で検査を受ける事ができます。どの医療機関でも対応できる訳ではないので、かかりつけ医で抗原検査を受けた後に設備が整った医療機関への紹介状を書いてもらったり、事前に問い合わせたりすると良いでしょう。

検査の費用相場

肝機能検査は保険適用されるケースが多く、超音波検査では3,000~4,000円、CT検査やMRI検査の場合は8,000~10,000円程度が費用相場と言われています。
ただし、保険適用の有無や検査費用は病院によって大きく異なることも多いため、事前に確認しておくのがおすすめです。

B型肝炎の治療方法

検査によってB型肝炎ウイルスへの感染が発覚した場合、医師の指示に従って速やかな治療を受けましょう。治療方法はB型急性肝炎の場合とB型慢性肝炎の場合で異なります。

B型急性肝炎の場合

B型急性肝炎の場合は、健康状態を管理しつつ自然にウイルスが排出されるのを待つことが多いです。食欲不振などの場合、点滴などで対処することはありますがウイルスに対する特別な治療などは行いません。

ただし、劇症化した場合には命に関わるため、抗ウイルス薬やステロイドの投与、血液透析などの特殊な治療を行います。肝炎が収まらなかったり、肝臓が機能しなくなってしまったりする場合は肝移植などを検討することもあるでしょう。

B型慢性肝炎の場合

B型慢性肝炎の場合もB型急性肝炎と同じく軽度であれば自然治癒を待ちます。しかし、B型慢性肝炎の場合はウイルスが完全に排除されないため、肝炎の鎮静後は内服薬を用いてウイルスの抑制を試みます。

B型肝炎の予防方法

B型肝炎の予防方法

B型肝炎は血液や体液に含まれるウイルスを取り込むことで感染します。そのため、予防方法としては感染源となる血液や体液に触れないことが望ましいです。

また、感染リスクの高い人はワクチンを接種する方法も推奨されます。それぞれの方法について詳しくみていきましょう。

【予防方法1】血液や体液に触れない

B型肝炎ウイルスキャリアの血液や体液は、感染媒体となってしまうため取り扱いは慎重に行う必要があります。特に日常生活の中では以下のポイントに気を付けて過ごしましょう。

  • カミソリや歯ブラシなど血液や体液を媒介してしまう物の共用を避ける
  • 性行為の際はコンドームを使用する
  • 感染者の血液や体液に触れる際はゴム手袋などを使用する

B型肝炎キャリアの血液や体液に触れただけで感染する訳ではありません。しかし、触れた手に、目には見えない小さな傷があればウイルスが侵入する可能性もあります。

特に性行為は、目には見えない傷から体液に含まれたB型肝炎ウイルスに感染する可能性が高いです。コンドームで完全に予防できる訳ではありませんが、パートナーがB型肝炎ウイルスに感染していないと断定できないのであれば、コンドームの使用が望ましいでしょう。

【予防方法2】ワクチン

B型肝炎を予防するためワクチンを接種する方法は、感染予防にとても効果的です。ワクチンを接種することで感染の予防、慢性化を抑制、B型肝炎を原因とする肝がんの予防などに95%の有効性があると言われています。

現在、子どもの予防接種でもB型肝炎ワクチンの定期接種が推奨されており、出生から規定期日内であれば公費負担で接種を受けられます。

また、以下に当てはまる人はB型肝炎リスクが高いとされ、定期的なワクチン接種が推奨されています。

  • 輸血や血液製剤を投与する必要性のある人
  • 透析患者
  • 臓器移植を受ける人
  • 注射薬物を使用する人
  • HBV持続性感染者のパートナーや家族
  • 医療従事者など、仕事で他人の血液などに触れる可能性のある人
  • B型肝炎流行地域に渡航する予定のある人
  • 複数の性的パートナーがいる人

これらに当てはまる人は、事前にワクチンを接種しB型感染ウイルスへの感染を未然に予防しましょう。

まとめ

劇症化すると命にも関わるB型肝炎。特に大人になってから感染した場合、肝硬変や肝がんなどを引き起こす可能性を持つ恐ろしい病気です。

血液をはじめとする体液を媒介に感染してしまうため、日常生活にも気を付ける必要があるでしょう。感染リスクが高い場合は事前にワクチン接種を受けるなど、感染予防対策を行ってみてください。

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この記事の監修者

宿田 孝弘
宿田 孝弘 ネオクリニック 院長

ネオクリニック院長の宿田孝弘です。私たちのクリニックはとても小さなクリニックですが皆様にとってのコンビニクリニックになれるように努力しますのでよろしくお願いします。

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