避妊にはどんな方法がある?どの方法が効果的なの?日本の避妊事情も調査
妊娠を望まないカップルにとって、避妊はとても大切なこと。お互いの心と体、今後のライフプランを守るためにも正しい避妊方法は欠かせません。
避妊方法の正しい知識を持っていることも大切で、特に日本では誤った避妊方法で望まない妊娠をしてしまう女性も少なくはありません。
この記事では避妊方法の種類や、誤った避妊方法の危険性、効果的な避妊方法などを解説しています。
「どんな避妊方法があるのか分からない」
「今の避妊方法が正しいのか不安」
という人はぜひ参考にしてみて下さい。
日本の避妊事情
誤った避妊方法による妊娠や、妊娠を望んでいないにも関わらず無防備な性交による妊娠。望まない妊娠は男女共に大きなリスクを抱えることにも繋がります。
厚生労働省によると平成30年度の人工妊娠中絶処置数は161,741件。20~24歳までの女性が全ての年代の中で人工妊娠中絶数が最も多い年代というデータも出ています。
人工妊娠中絶は心身共に負担の大きい施術です。前年度に比較すると減少傾向にあるものの、これだけ多くの女性が望まない妊娠により人工妊娠中絶をしている背景には日本の避妊事情が大きく関係していると言えます。
日本の避妊方法1位は「コンドーム」
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、初婚同士の夫婦における避妊方法は77.4%がコンドーム、次いで17.7%は膣外射精を用いているという結果が出ています。世界では多く利用されているピル(経口避妊薬)は2.3%、IUDは1.0%。
世界では多く利用されているピル(経口避妊薬)やIUDなどの女性主体となる避妊方法がほとんど利用されていないのも、望まない妊娠を起こしてしまっていると言えるでしょう。
男性主体の避妊方法はパートナーの協力が欠かせないにも関わらず「パートナーに避妊をして欲しいと言えない」と、無防備な性行為をして望まない妊娠をしてしまうケースもあります。
参照:第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所 (ipss.go.jp)
間違った避妊方法による避妊失敗
「生理中は妊娠しない」
「性交後シャワーで膣を洗えば妊娠しない」
「膣外射精すれば妊娠しない」
といった避妊に関する噂話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
特に低年齢の望まない妊娠は、避妊に対する間違った知識や誤った避妊方法から起こっているというケースも。
そもそもどのような避妊方法であったとしても100%妊娠を防ぐ避妊方法は存在しません。避妊に対する正しい知識や効果的な避妊方法を知らないことも望まない妊娠をしてしまう原因の1つと言えます。
効果的な避妊方法7つ
避妊方法には様々なものがあります。まずは、現在日本で行うことのできる避妊方法7つの特徴について解説していきましょう。
ピル(経口避妊薬・OC)
ピルは「経口避妊薬」や「OC(Oral Contraceptives)」とも呼ばれ、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの含まれる錠剤を毎日同じ時刻に服用することで避妊効果が期待できます。正しく服用することで約99.7%の避妊効果があると言われ、世界でも多く利用されている避妊方法の1つ。
ピルで心配される副作用ですが、軽い悪心や不正出血などのマイナートラブルは1~3ヵ月程で改善されているケースが多く報告されています。ピルを服用すると太るとも言われますが、医学的根拠はないという研究結果も。
ピルは避妊効果だけでなく【月経困難症・過多月経・子宮内膜症の改善、卵巣がん・子宮体がん・骨粗鬆症のリスク軽減】にも効果が期待でき、最近ではにきびの治療に用いられることも。体質に合えば女性主体でできる有効な避妊方法である一方、医師による処方が必要で45歳以上やヘビースモーカーなど血栓症リスクの高い人には処方できません。
また、ピルは避妊に有効であっても性感染症は防ぐことができずコンドームなどとの併用が推奨されています。
コンドーム
日本で最も広く使用されている避妊具「コンドーム」。ゴムやポリウレタン製の袋状避妊具を男性器に被せて利用します。正しく利用すれば精子が膣内へ侵入するのを防ぐ他、性器が直接触れないことで性感染症予防にも効果が期待できます。
理想的な使用方法では約98%の避妊率があると言われているものの、誤ったタイミングでの装着や正確に装着できていないことが原因で性交中の脱落・破損により避妊に失敗するケースも。男性主体の避妊方法であることからパートナーの協力も必要。「コンドームを付けると気持ち良くないから」といった理由で、避妊を拒否されてしまう経験をした女性も少なくないようです。
コンドームには女性の膣内に装着するタイプもありますが、日本では認知度が低くあまり普及していません。
IUD(子宮内避妊具・Intrauterine Device)
子宮内に避妊具を挿入して受精卵の着床を防ぐIUD。プラスチック製の小型器具で体質的にピルが服用できない人や長期間避妊をしたい人に適した避妊方法です。
1度挿入すると2~5年程避妊効果が継続し、使用感もなく世界でも女性主体の避妊方法として多く利用されています。避妊効果が高く、ピルに次ぐ避妊率の高さが特徴です。
医師による装着や除去が必要。まれに自然に排出してしまったりズレてしまったりすることもあるので正しい位置に挿入されているか定期的な診察などメンテナンスも大切です。
避妊率の高さや長期間避妊効果が持続する点などからすると、出産経験があり次の出産を望まない女性や、中絶経験があり暫く妊娠を控えたい女性にはとても効果的な避妊方法です。
IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム・Intrauterine System)
IUDと似た避妊方法にIUSがあります。IUSはIUDの一種で、黄体ホルモンを放出する機能がついたIUDと言っても良いでしょう。
IUSから放出される黄体ホルモンにより、子宮内膜の増殖を抑えて着床を防いだり子宮頸管の粘液を変化させて精子の侵入を防いだりして避妊します。
ピルに似た原理で避妊をしているものの、子宮内に直接IUSを挿入することで効果は子宮に限定され副作用や血栓症リスクによりピルを利用できない人にも使用可能。経血量の低下や生理痛の軽減効果も期待できるため月経困難症の治療に用いられるケースもあります。
一度の挿入で約5年間避妊効果が持続するものもあり、女性主体の避妊方法として効果が期待できるでしょう。ただし、IUDと同じく医師による挿入・除去や上メンテナンスとして定期的な診察も必要です。
リズム法
妊娠や生理のメカニズムを理解していれば、排卵がなければ妊娠は成立しないということが分かります。生理の周期を把握して、排卵の可能性がある時期に性交を控えるのがリズム法という避妊方法です。
基礎体温の変化から、自分の生理周期を予測。排卵期周辺は性交を控えたり念入りに他の避妊方法を併用したりして妊娠の成立を防いでいます。
婦人体温計さえあれば直ぐに始められる手軽さや、自分の生理周期が分かるようになるメリットをもつものの、避妊効果としてはあまり高い効果は期待できません。
何故なら女性の体はとても複雑で、発熱や過労・ストレスにより排卵の時期がずれる事もよくあります。その上、排卵された卵子の寿命は1~2日、子宮内での精子の寿命は平均で約3日。長いものでは1週間も子宮内で生き延びる精子もいる可能性があります。排卵がずれることによって長期間子宮内で生き延びた精子が受精してしまい、望まない妊娠をしてしまうことも。
女性の生理周期を知る上では大切なリズム法ですが、避妊効果としてはやや不安が残る方法と言えるでしょう。
不妊手術
女性の場合は卵管、男性の場合は精管を糸で結んだり切断したりする方法で避妊を行う不妊手術。一度手術すれば半永久的に避妊効果が持続するものの、外科手術を必要とすることや今後の妊娠が難しくなることからあまり普及されていません。
特に女性の場合は、妊娠できる状態に戻すのが難しいとも言われており未婚のカップルにはあまり適していないでしょう。
緊急避妊薬(アフターモーニングピル)
妊娠を望まない女性が避妊をしない状態で性交してしまった場合や、性交中コンドームが脱落・破損したなど避妊に失敗した場合の対処法として緊急避妊薬を用いる避妊方法があります。
緊急避妊薬は通常性交後72時間以内にアフターピルを服用すると84%の確率で妊娠を防ぐことができると言われています。なるべく早い服用が求められ、医師の処方が必要です。
最近は120時間以内でも高い避妊効果が期待できるアフターピルもあります。
悪心などの副作用が見られるケースも多いですが、無防備な性交や避妊に失敗してしまった場合は速やかに緊急避妊薬の処方を求めるのが良いでしょう。
安全日・膣外射精は効果的な避妊方法ではない
避妊をしているという人の中には「安全日は妊娠しない」「膣外射精をしているから妊娠はしない」といった誤った知識を持っている人も。安全日や膣外射精についても正しい知識を持っておくことが大切です。
安全日のセックス
安全日とは、いわゆる排卵の可能性が最も少ない日のこと。特に生理明けなどを安全日と呼ぶ人も多いでしょう。リズム法の延長で、排卵がなければ妊娠はしないという理屈から広まった知識ですが、安全日の考え方には大きな間違いがあります。
健康で妊娠できる状態の女性に「安全日」という絶対に妊娠しない日は存在しません。
特に月経周期が安定しない内はリズム法のように基礎体温だけでは、排卵時期を予測できないことも。
リズム法で挙げたように、排卵時期のずれや精子・卵子の寿命期間など条件が揃えば無防備な性交をする限り必ず妊娠の可能性があります。生理が終わったからといって無防備な性交をしたものの、実は生理ではなく不正出血で直後に排卵したため望まない妊娠をしてしまったというケースも。妊娠を望まないのであれば生理周期に関わらず、効果的な避妊方法を用いるのが良いでしょう。
セックス時の膣外射精
膣外射精とは射精前に男性器を抜き、膣の外に射精すること。日本では特に膣外射精を効果的な避妊方法と勘違いしている人が多く、コンドームの次に多く行われていると言われています。
男性器から射精前に出て来る透明のカウパー腺液にも精子は存在しています。そのため、無防備な性交で男性器を膣に挿入した時点で妊娠の可能性も。さらに男性が射精前に性器を引き抜くことができずに、膣内射精してしまうリスクもあるでしょう。
結婚している夫婦や妊娠をしても良いと考えているカップルにとっては問題がないかもしれませんが、妊娠を望んでいないのであれば膣外射精は効果的な避妊方法ではありません。
【要注意】その他の効果がない避妊方法
安全日や膣外射精以外にも、都市伝説のように語られている避妊方法はたくさんあります。間違った避妊方法で望まない妊娠をしないよう、効果のない避妊方法は避けましょう。
セックス後のシャワーやビデによる膣洗浄
セックス後にシャワーやビデを使って膣を洗えば、精子が流れ出て避妊できるといった噂がありますが、セックス後の膣洗浄に避妊効果はありません。
そもそもシャワーやビデは子宮まで届くものではなく、精子や卵子は子宮よりさらに奥深くの卵管付近で出会います。シャワーやビデでは、精子を全て洗い流すことはできないでしょう。
生理中のセックス
生理中は排卵が終わり子宮内膜も剥がれ落ちることから妊娠しないと思っている人も多いですが、大きな間違いです。リズム法や安全日のセックスと同じく、様々な要素が絡み合って起こる排卵時期のズレや精子・卵子の寿命によって妊娠が成立することも。
実際に生理中、無防備な性交によって望まない妊娠をする人もいます。生理中だからといって避妊しなくても良いという訳ではないと覚えておきましょう。
コンドームの2枚重ね
確実に避妊するためにはコンドームを2枚重ねにすると良いという噂話。絶対にやめておきましょう。コンドームは本来1枚で使用し理想的な使い方をすれば高い避妊効果が期待できます。
2枚重ねて使うことで、ゴム同士が摩擦や熱によって破れやすくなることも。コンドームは正しい使い方で利用しましょう。
避妊と安全なセックスのためにデュアル・プロテクションがおすすめ
様々な避妊方法がありますが「結局どの方法を選ぶのが良いの?」と思っている人も多いでしょう。避妊効果と安全性を最も高めるためにはデュアル・プロテクションという2重の避妊方法がおすすめ。
例えば女性主体のピルで避妊をしつつ、性交時にはコンドームを利用する。避妊と性感染症対策を同時に行うことができ高い避妊効果と性感染症に対する安全性が期待できます。
IUDやIUS、リズム法や不妊手術など、コンドームはどの避妊方法にも併用でき性感染症を防ぐためにも有効です。避妊効果を高めつつ性感染症対策を行うためにも、デュアル・プロテクションでセーフセックスを心掛けましょう。
まとめ
効果的な7つの避妊方法と、誤った避妊の知識について解説してきました。望まない妊娠を防ぐためには、パートナーと共に正しい知識を持つことが大切です。避妊に対する正しい知識をパートナーと共に学び、対策をしてみて下さいね。
当院では、完全自由診療にてピル・アフターピルを処方いたしますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。