トリキュラーの効果、副作用
こんにちは、札幌の婦人科「ネオクリニック」です。
トリキュラーの効果と現時点で 考えらえる副作用を取り上げてみました。
副作用はきちんと指示通りに飲んでもそれぞれ飲む側の個体差があり、出現することがあります。
ただ、効果と共にどのような副作用が起きるかをしっかりと把握することで、副作用の拡大を最小限に止めることができます。
また、副作用だけでなく、トリキュラーを飲むにあたっての注意点も取り上げていますので、ぜひ、参考にしてください。
トリキュラーの効果
トリキュラーは低用量ピルに属し、避妊成功率が高いとされ非常に使いやすいピルです。
トリキュラーを体内に入れることで、下記のような3つの変化がおきます。
➀排卵を抑制する
トリキュラーの薬効成分は卵胞ホルモンと黄体ホルモンです。
トリキュラーを飲むことで、卵胞ホルモンや黄体ホルモンを出すようにという脳からの指令がなくなります。
排卵は体温が低温期から高温期になる時に行われるのですが、トリキュラーの働きによってその体温の変化が消失。要するに、妊娠成立に必要な排卵が抑えられたということです。
また、この現象を受けて、排卵の後に見られるプロゲステロンの上昇がなくなるので、確実にトリキュラーが排卵を抑えたということになります。
②子宮内膜は厚くならない
排卵が行なわれた後、通常であれば、妊娠の準備として子宮内膜が厚くなりはじめます。
しかし、トリキュラーを飲むことで、排卵が抑制されるために受精卵は作られず、受精卵が着床するために子宮内膜を厚くするという作業もありません。
実際にトリキュラーを飲む女性の子宮内膜を観察したところ、通常なら(トリキュラーを飲んでいなければ)厚くなるはずの子宮内膜が厚くなっていなかったことが確認されています。
要するに、トリキュラーによって受精卵が静かに横たえるフカフカベッドがなくなったというわけですね。
精子が子宮内に入らないように阻止する
通常であれば、排卵がおき、子宮の頸管粘液の分泌量や組成や精子が通過しやすいように変化します。しかし、トリキュラーは子宮頸管粘液の分泌量を減らし、粘性を高くするため、精子は頸管の中を通過することができません。
上記の3つの作用機序で、トリキュラーによる避妊効果は可能になります。
ところで、トリキュラーを効果的だけでなく安全に使用するためには、トリキュラーの副作用を理解することが重要です。
次は、トリキュラーの副作用について検討してみましょう。
トリキュラーの副作用
トリキュラーは安全性が高いとはいえ、薬剤である以上、副作用も考えて使用しなくてはいけません。
この点についても医師任せにすることなく、最低限のことを知っておきましょう。
また、使用上において重要な注意点にも触れておきますので参考にしてください。
消化器症状の副作用が多い
消化器症状で副作用が多いとされています。
ただ、周期が経過するほど、副作用の出現も減少するようで、飲み始めの副作用が重篤なものでなければ、飲み続けることで薬剤に慣れ、副作用に対して柔軟に対応できるようになると考えられます。
子宮不正出血の副作用について
子宮不正出血の出現ですが、トリキュラーの添付文書によると、3.8% で、日本産科婦人科学会の低用量ピルのガイドラインでは、一般的な低用量ピルによる子宮不正出血の出現は約20%となっています。
これらの数字で他の低用量ピルと比べ、トリキュラーは子宮不正出血が出にくいということがわかりますね。
重大な副作用:血栓症
頻度不明ですが、脳、心臓、肺、網膜や四肢など、体のいたるところに血栓症ができやすくなっています。
重篤な事態になることも考えられるため、下記のような症状が出たら、直ちに飲むのを止め、速やかに救急の医療機関を受診してください。
- 強い胸痛、息切れ
- 強い頭痛
- 視力障害
- 四肢の脱力感やマヒ
- 言葉のもつれ
など。
トリキュラーを飲んではいけない方
- 女性ホルモンが関与した子宮がんや乳がんの方、またその疑いがある方
- 診断が確定されていない不正子宮出血がある方
- 過去、あるいは現時点で諸血栓症に罹患した方
- 35歳以上で煙草を1日15本以上、喫われる方
- 片頭痛があり、発作の前兆に視覚異常(閃輝暗点,星型閃光等)が出現する方
- 高血圧の方(高血圧が軽度であれば飲んでもOK)の方
- 高脂血症の方
- 妊娠中、妊娠の可能性がある、授乳中の方
- 成長途中の方(女性ホルモンを飲むことで骨端が早く閉鎖して、骨の伸びが悪くなる)
など
使用上の注意
- トリキュラーを飲む前に妊娠の有無をはっきりしておくこと(問診、診察、検査などを受ける)
- 1年1回以上は子宮や卵巣などの検査を受けること
- 乳がんの自己検診をしっかりとやること
- トリキュラーを飲んだ後、激しい嘔吐や下痢があった場合、トリキュラーが体内に吸収されていない可能性を考慮して、妊娠を確実に回避するため、他の避妊方法を併用すること
- 妊娠を望むため、トリキュラーを中止した場合、月経周期が正常に回復するまでは別の方法などでしっかりと避妊すること(トリキュラーの妊娠への影響をなくすため)
- トリキュラーを飲んでいる場合、血圧測定など循環器系の検査を半年に一回は受けること
- トリキュラーを飲んでいる間に不正性器出血があった場合、ほとんどが継続中に無くなりますが、長期間出血が続いた場合、さらなる精密検査を必要とするため、出血の有無を必ず医師に申し出ること。