トリキュラー?マーベロン?世代別低用量ピルの種類一覧!それぞれの違いや特徴・おすすめの選び方を解説
避妊や生理周期のコントロール、生理に関わるマイナートラブルや症状の改善を目的に低用量ピルを服用している人が増えています。
初めて低用量ピルの服用を検討する人の中には「どの低用量ピルを選べば良いの?」と悩んでしまう人もいるでしょう。
低用量ピルは種類によって、効果や目的が異なります。この記事では、低用量ピルの種類や違い、特徴を徹底解説。
自分に合った低用量ピルを知りたいという人はぜひ参考にしてみて下さい。
低用量ピルとは
ピルは1960年代にアメリカで認可を受けた経口避妊薬。女性主体の避妊方法として世界中で服用されており、避妊以外のさまざまな副効用は女性のQOLを向上させるものとして注目を集めています。
低用量ピルを服用する目的
低用量ピルは避妊を目的として開発された薬ですが、避妊以外にも様々な副効用があります。
現在では、副効用を目的としてピルが処方されるケースも珍しくありません。
現在では、【避妊・月経移動・PMS、ニキビ、月経痛、生理不順、月経過多の改善、子宮内膜症の治療】などにピルが処方されます。
1相性・2相性・3相性の違い
ピルは1シートに配合されるホルモン量の違いによって1相性・2相性・3相性と分別されます。
1シート全てのピルが同じホルモン量であるものを1相性。ホルモン量の異なる2種類のピルが1シートに入っているものを2相性。3種類のものが3相性です。
本来、分泌されるホルモンの量は複雑に増減を繰り返しています。そのため、周期内(1シート内)でホルモン摂取量が増減している3相性のピルは、自然なホルモン分泌に近い状態を再現できるのが特徴です。
しかし、1シート内でホルモン配合量が変わると、服用方法が複雑になるというデメリットもあります。特に月経移動を目的とした場合などは不向きでしょう。
3相性だから良い、という訳ではなく、目的に合わせて1相性、2相性、3相性のどれを選択するのかということが大切です。
21錠タイプと28錠タイプの違い
ピルには1シートが21錠のものと、28錠のものがあります。2つの違いは偽薬(プラセボ)の有無によるものです。
ピルには休薬期間があり、基本的には1シート服用したら休薬期間を設けます。休薬期間中には生理様出血が起こります。
偽薬を含まない21錠タイプでは、休薬期間中はピルを服用せずに過ごし、休薬期間明けから新たなシートの服用を始めます。
一方、28錠タイプは最後の7錠が、ホルモンを含まない偽薬になっているのが特徴。偽薬を服用中に生理様出血が起こり、1シート全ての服用を終えたら新しいシートを服用します。
21錠タイプは休薬期間中に薬を服用しなくても良いメリットがある反面、休薬期間明けにピルの飲み忘れが起こりやすいデメリットがあると言えるでしょう。
また、28錠タイプは毎日ピルを服用し続けることで飲み忘れを起こしにくいメリットがある反面、21錠タイプと比較すると費用がやや高めになるデメリットがあります。
21錠タイプにするのか28錠タイプにするのかは、自分の性格や服用管理能力に合わせて選ぶのがおすすめです。
中用量ピルとの違い
ピルには高用量ピル、中用量ピル、低用量ピルの3種類があります。高用量ピルは副作用のリスクが大きいため、現在処方されることはありません。
緊急的な避妊が必要な際に用いられるのが中用量ピル、いわゆるモーニングアフターピルです。
中用量ピルと低用量ピルは、使用している成分は殆ど同じもの。しかし、ホルモン含有量が違うという点が最も大きな違いです。
中用量ピルはホルモン含有量が50ナノグラム以上、低用量ピルはホルモン含有量が50ナノグラム以下とされています。
中用量ピルは低用量ピルと比較すると副作用が起きやすいため、緊急避妊薬や病気の治療以外で使うことはほとんどありません。
【世代別】低用量ピルの種類と特徴
低用量ピルは、医学の進歩と共に新しいものが開発されています。
開発された順に【第一世代・第二世代・第三世代・第四世代】と分類され、それぞれの世代には特化した効用や使用されている黄体ホルモンの違いなどがあります。
「どの低用量ピルを使えば良いのかな?」と悩んだ際には、世代ごとの違いや特徴を比較してみるのがおすすめです。
自分の求めている効用に特化している世代を選ぶことからはじめてみてはいかがでしょうか。
【第一世代】ノルエチステロン
第一世代の低用量ピルは、ノルエチステロンという黄体ホルモンが配合されています。
日本で初めて製造が承認された低用量ピルでもあり、現在でも避妊や女性の病気などに幅広く用いられている低用量ピルです。
第一世代の低用量ピルは生理時の出血量を抑えたり、生理痛を和らげたりする効用が他の低用量ピルよりも期待できます。そのため、月経困難症の改善に用いられるケースも多いです。
ニキビや肌荒れなどを改善する副効用も比較的高く認められるため、美容目的で第一世代の低用量ピルを選ぶ人も少なくありません。
第一世代のピル | シンフェーズ、フリウェルLD、ルナベルLD/ULD |
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一方で、副作用として【不正性器出血、悪心、頭痛、浮腫み、過敏症、発疹】が現れやすいと言われており、他の世代に比べて不正性器出血が起こりやすいのも第一世代の特徴です。
【第二世代】レボルノゲストレル
第二世代の低用量ピルには、レボルノゲストレルという黄体ホルモンが配合されています。
第二世代の最も大きな特徴は、全ての低用量ピルが3相性である点です。
第一世代の低用量ピルよりも、自然なホルモンバランスを再現することで配合するホルモン量の減量に成功。ホルモン配合量が少ないことで、第一世代と比較して副作用が現れにくくなりました。
第二世代のピル | トリキュラー、アンジュ、ジェミーナ、ラベルフィーユ |
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主な副作用として【頭痛 、下腹部痛、乳房の張り、悪心、嘔吐、息切れ、過敏症、発疹、じん麻疹、肝機能異常、浮腫、不正性器出血、体重増加など】が起こりやすいとされています。
また、人によってはレボルノゲストレルを服用することによって男性ホルモンが活性化し過ぎるといった副作用(体臭が強くなる、多毛になるなど)を感じる人もいるようです。
低用量ピルはどの世代でも血栓症のリスクを持つ薬ですが、第二世代では実際に重大な血栓症の副作用症例が報告されています。極僅かな確率で起こる副作用ですが、そういった症例があることを把握しておきましょう。
【第三世代】デソゲストレル
第三世代の低用量ピルには、デソゲストレルという黄体ホルモンが配合されています。
第三世代では、ホルモンの配合バランスによって一相性でも副作用を抑えることができることが分かり、全種類が一相性になりました。
男性ホルモンの抑制効果が高いため、にきびや多毛症の改善に効果が期待できます。第二世代の低用量ピルと比較すると、エストロゲンの配合量が減少しているため、胸の張りや頭痛などの副作用が起こりにくくなっているとも言われています。
第三世代のピル | マーベロン、ファボワール |
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第三世代ピルの主な副作用は【頭痛、悪心、視力障害、過敏症、発疹、肝機能以上など】。その他、長期服用することで性欲減退や抑うつ症状を感じたという副作用の症例も報告されています。
また、第三世代ピルは第一、第二世代と比較すると血栓症リスクが高くなる恐れがあると言われています。
第三世代ピルは開発されてからそれほど時間が経っていない上、第一世代・第二世代ピルが人気のため、まだまだ症例が少ないです。そのため、科学的な根拠は発見されていません。
しかし、実際の症例からデソゲストレルが血栓症リスクを上昇させているのではないかと推察する研究者の声も無視できません。
【第四世代】ドロスピレノン
最も新しい第四世代の低用量ピルには、ドロスピレノンという黄体ホルモンが配合されています。
第四世代ピルは「超低用量ピル」と呼ばれ、避妊効果が期待できる最小限のホルモン配合量で製造されているのが特徴です。
エストロゲンの配合量も少ないため、副作用が比較的起こりにくく、授乳中や35歳以上の人でも服用できる低用量ピルとして支持されています。
第四世代以前の低用量ピルは、男性ホルモンをベースとして製造されていましたが、第四世代では利尿ホルモンが主要ホルモンとして配合されています。
そのため、副作用として浮腫みが起こりにくく、浮腫みによる体重増加も起こりにくい低用量ピルです。
現在、第四世代ピルは保険適用としてのみ処方されていて、PMSや生理にまつわるトラブルの改善に用いられています。避妊を目的とした処方は受けられない点に注意しましょう
第四世代のピル | ヤーズ、ヤーズフレックス |
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第四世代ピルの主な副作用として起こりやすいものは【頭痛、悪心、不正出血、下腹部痛など】が挙げられます。
また、第四世代ピルは、重大な副作用症例として血栓症が報告されています。
本来なら、エストロゲン配合量が少ないことで血栓症リスクは抑えられる筈ですが、第四世代ピルの副作用として血栓症を発症した人がいます。
第三世代ピルと同じく、開発から日が浅いためまだ詳しい原因は解明されていませんが、第四世代ピル服用中は体調の変化を気にかけながら過ごすことが大切です。
低用量ピルの種類一覧表
続いて、低用量ピルを世代別、先発品、後発品、保険適用ができるものに分類して一覧で紹介しています。
後発品はジェネリック医薬品とも呼ばれ、先発品と同じ効用を持ち比較的安価なのが特徴です。
しかし、金銭的なメリットの一方で流通が安定していなかったり、先発品とは若干使用感に差があったりするなどのデメリットも考えられます。
-第一世代
先発品ピル | ルナベルLD/ULDシンフェーズ |
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後発品(ジェネリック)ピル | フリウェルLD |
保険適用ピル | ルナベルLD/ULDフリウェルLD |
-第二世代
先発品ピル | トリキュラー、アンジュ、ジェミーナ |
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後発品(ジェネリック)ピル | ラベルフィーユ |
保険適用ピル | ジェミーナ |
-第三世代
先発品ピル | マーベロン |
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後発品(ジェネリック)ピル | ファボワール |
保険適用ピル | – |
-第四世代
先発品ピル | ヤーズ、ヤーズフレックス |
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後発品(ジェネリック)ピル | – |
保険適用ピル | ヤーズ、ヤーズフレックス |
保険適用の低用量ピルは避妊目的では買えないの?
保険適用ピルは、病気や疾患の治療に際して医師の判断で処方される低用量ピルです。そのため、病気ではない避妊や月経移動を目的として処方を受けるのは難しいでしょう。
尚「保険適用ピル=安価」という考え方にも注意が必要です。
保険適用ピルは、医療保険が適用されるため3割負担で受診、処方を受けることができます。
しかし、病気の治療を目的としているため必ず診察を受ける必要がありますし、場合によっては検査費用がかかることもあるでしょう。
一方で自由診療では、簡単な問診と服用方法の説明を受けるだけで低用量ピルの処方を受けられるケースも少なくありません。
診察料や検査費用などを合算すると、自由診療の低用量ピル処方と保険適用の低用量ピル処方、かかる費用が同等になる事もあります。
「本当は避妊用の低用量ピルが欲しいけど、生理痛を改善したいと言って保険適用で受診しよう」なんて考えは持たないで下さいね。
低用量ピルの処方を希望する場合は目的に合わせて受診し、適切な処方を受けましょう。
【目的別】おすすめの低用量ピルの種類
低用量ピルはそれぞれに特徴があるため、目的に応じた種類を選ぶことも大切です。ここで紹介する選び方を参考に、医師と相談して利用する低用量ピルを選んでみて下さいね。
避妊が目的の人におすすめの低用量ピル
避妊を目的に低用量ピルを選ぶなら、【トリキュラー、マーベロン、ラベルフィーユ】などがおすすめ。
エストロゲン配合量が比較的少ないため、副作用が起こりにくく日常生活に支障が出にくいでしょう。
また、性欲減退などの副作用が起こりにくいため、性生活への影響も少ないと考えられます。
ニキビ改善が目的の人におすすめの低用量ピル
ニキビ改善を目的に低用量ピルを選ぶなら、【マーベロン、ファボワール】などがおすすめです。
これらの低用量ピルは男性ホルモンの抑制効果があると言われているため、ニキビ改善の他、多毛の改善にも効果が期待できます。
生理周期のコントロールが目的の人におすすめの低用量ピル
生理周期のコントロールを目的に低用量ピルを選ぶなら【マーベロン】などがおすすめ。
マーベロンは連続服用することもできるため、長期間生理を止めることも可能です。
まとめ
避妊や生理、女性特有の悩みや病気の改善が期待できる低用量ピル。より女性の体に負担をかけず高い効果を発揮できるよう、さまざまな種類が開発されていることが分かりましたね。
ピルは使用目的に合わせて適した処方を受ける必要があります。種類や違いを知った上で、医師とよく相談して自分に合った低用量ピルを探してみて下さい。
当院では、一人ひとりの症状やライフスタイルに合ったピルをご提案し処方いたしますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。