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コラム

低用量ピル服用中の中出しはハイリスク!?避妊中の妊娠確率や適切な避妊法を解説

低用量ピル服用中の中出しはハイリスク!?避妊中の妊娠確率や適切な避妊法を解説

代表的な避妊方法の一つとして挙げられるのが低用量ピルですが、その避妊効果はどの程度のものなのか気になったことはありませんか?低用量ピルを服用している女性の中には「ピルを飲んでいるなら中出ししても大丈夫?」と聞かれ、困ってしまう人も少なくありません。ピルさえ飲んでいれば、本当に中出し(膣内射精)やコンドームなしでも大丈夫なのかどうか心配になりますよね。

この記事では低用量ピルについての基本的な知識と、その避妊効果はどのくらい期待できるのか、また使用するリスクはあるかなどについて、その他の避妊方法との比較と共にご紹介していきたいと思います。
膣内射精のリスクや、低用量ピル服用中に膣内射精をした際の妊娠確率について知りたい人は参考にして下さい。

※本文では膣内射精を中出しと俗語で表記しております

低用量ピルとは?

経口避妊薬:ピル
低用量ピルは女性主体で行うことができる避妊方法のひとつ。欧米では若い女性の約70%が服用していると言われています。

低用量ピルは「経口避妊薬」とも呼ばれるもので、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが配合されている薬です。
毎日一回服用することで2つの女性ホルモンを薬でコントロールし、妊娠時に近いホルモンバランスを維持することで排卵の抑制や、子宮内膜の増殖を抑える効果があります。
コンドームなどの外的な避妊方法と異なり、女性の体の内側からアプローチする避妊方法ということができるでしょう。

また、排卵を止めて高い避妊効果を得る低用量ピルを内服すると「生理を戻すことができるのかな?」と不安を感じる人もいるでしょう。

低用量ピルの効果は服用中に限られたものです。服用を止めれば排卵や生理が再開されます。
生理が戻れば問題なく妊娠も可能な上、赤ちゃんにも影響が出ることは無いので、将来的に妊娠を希望する人にもおすすめの避妊方法です。

低用量ピルはさまざまな副効用があり、避妊効果としてはもちろん、生理不順やPMSの治療にも使用されています。

低用量ピルの効果(副効用)

低用量ピルは避妊を目的に作られた薬ですが、その他にもさまざまな副効用があります。
副効用の中には、生理トラブルや病気の治療に効果が期待できるものもあり、避妊以外の目的で低用量ピルを服用する人も増えています。

●低用量ピルの副効用
月経移動、生理痛の軽減、月経量の減少、生理不順の改善、PMS(月経前症候群)の改善、子宮内膜症の改善、ニキビ・肌荒れの改善、卵巣がん・子宮体癌・良性乳房疾患・大腸がんの予防など

特に生理にまつわるトラブルへの副効用は、女性のQOL(Quality Of Life=生活の質)を向上させる効果も期待されます。

低用量ピルの避妊効果はどのくらい?服用している時は中出ししても妊娠しないって本当?

ピルとは
低用量ピルを避妊方法として選択する場合、一番気になるのがその効果かと思います。
結論から言いますと、低用量ピルの避妊効果は正しく使用した場合にはほぼ100%と言うことができます。

さらに具体的な数字を見ていきますと、毎日一定時間に飲み忘れることなく使用した場合には避妊率は99.7%になります。もし飲み忘れてしまったりしても、その後の対処が適切であれば避妊率は92%ほどになります。

低用量ピルと並ぶ一般的な避妊方法の一つにコンドームがありますが、コンドームの場合は正しく使用した場合にも避妊率は98%、そうでない場合は82%です。

このように数値で比較してみても、低用量ピルは現在使用されている避妊方法の中で最も確実な方法であると言っても過言ではないでしょう。

しかし、女性主体の避妊をしているなら、男性側は避妊をしなくても良いのかと聞かれれば答えは「No」です。

低用量ピルを服用して排卵がストップしている状態で性行為を行い、中出し(膣内射精)をしたとします。
排卵されていなければ、受精することはないので妊娠の可能性は限りなく低いと言っても良いでしょう。

低用量ピルの避妊率は99.7%。正しく服用できていれば、確かに中出ししても妊娠しにくいです。
しかし、「絶対に妊娠しない」という訳ではありません。
誤った薬の服用や飲み忘れ、ホルモンバランスの変化によって0.3%は避妊に失敗する確率があることを理解する必要があります。

低用量ピルを服用していても100%妊娠しないという確証はありません。
低用量ピルを服用しているからといってコンドームを使用しないセックスや中出しは控えましょう。

低用量ピルのリスク

前述の通り、低用量ピルは避妊に対して高い効果がありますが、それでも幾らかのリスクがあります。

例えば避妊効果はピルを正しく使用して初めて得られるものですが、飲み忘れなどの人為的ミスは起こりうるものです。また、性感染症などの妊娠以外の問題もあります。
続いてこれらのリスクについて解説していきます。

飲み忘れ

ピルは1日1錠飲み続ける必要があるので、うっかり忘れてしまうというリスクがあります。

基本的には1日のうちどの時間に飲んでも構わないのですが、毎日バラバラの時間に飲んでいると忘れてしまう可能性が高くなるので、決まった時間に飲むことを習慣づけるのがよいでしょう。

とはいえ、時間を決めたり薬を見やすい場所に置くなどの工夫をしていても、どうしても忘れてしまうことは起こり得ます。

低用量ピルは3日以上飲み忘れるとその効果が薄れると言われています。特に服用周期1周〜2周目に飲み忘れ、さらに性交渉をした場合は妊娠のリスクが高まります。
「ピルを飲んでいるのでコンドームなしでも大丈夫」「中出ししても大丈夫」と言う気の緩みがあると、いざ飲み忘れが生じた時に無防備な性交渉をしてしまっていたことに気づくと言う事態になりかねません。

副作用

低用量ピルは女性にとって大変便利な薬ですが、服用する上で注意すべき点もあります。
それが低用量ピルの服用によって起こる副作用です。

●低用量ピルの主な副作用
吐き気、頭痛、乳房の張り、だるさ、不正出血、下痢、むくみ、下腹部痛など

低用量ピルの主な副作用はマイナートラブルとも呼ばれ、服用を続ける内に自然と解消されていくものがほとんどです。
1~2シート服用後も副作用が続くようであれば、体質に合っていない可能性が高いので、低用量ピルの種類を変えるか、違う避妊方法も検討するべきでしょう。

マイナートラブル以外にも、低用量ピルは極わずかな確率で血栓症という重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
血栓症は、血液中に血の塊ができてしまう病気です。
血の塊が肺や脳の血管を詰まらせてしまうと命に関わることもあり、服用をはじめて3ヵ月~半年の間に発症しやすいことが分かっています。

ただし、血栓症を起こす割合はそう高いものではありません。
低用量ピルを服用していない人でも発症のリスクはある上、妊娠中や産後直ぐの方が低用量ピル服用時よりも発症確率が高いと言われています。

重篤な副作用が起きた場合には、早期治療が大切です。
万が一の場合、迅速に副作用の可能性に気付けるように、低用量ピルの服用時は副作用についても理解しておきましょう。

低用量ピルの副作用で血栓症が起こる原因や確率は?注意したい初期症状と予防法も紹介!

性感染症

低用量ピルは避妊には高い効果がありますが、だからと言ってピルを服用さえしていれば無防備な性交渉をしていいというわけではありません。

ピルには性感染症を防ぐ効果はなく、安易にコンドームなしや中出しの性交渉をすることで、妊娠は防げても他の様々な性感染症にかかってしまう可能性があります。
一般的な性感染症として、エイズ梅毒クラミジア性器ヘルペス尖圭コンジローマトリコモナス等が挙げられます。

これらの性感染症は性器同士や粘膜部の接触によって起こるものなので、低用量ピルで防ぐことはできません。1度の性交渉でもかかる場合もあり、場合によっては一生付き合うことになったり、不妊の原因となる病気もあるので侮れません。

低用量ピルのリスク予防策

上述したような、低用量ピルでカバーできないリスクについては、コンドームを併用することとピルを飲み忘れた場合の対処法を知っておく必要があります。
それぞれ詳しくご説明していきます。

コンドームとのW避妊によるセーフセックスがおすすめ

低用量ピルを服用していたとしても、コンドームを併用することはリスクを軽減する助けになります。

前述した通り、低用量ピルの服用に慣れていて完全な避妊ができているつもりでいても、飲み忘れた時には避妊0の状態で性交渉をしていたと言う事態もありえます。

その点で、コンドームを併用していれば、万一飲み忘れていても焦ることがありません。逆にコンドームを使用していても、低用量ピルも飲んでいれば、万一コンドームの使用に失敗があっても焦ることはありません。
このように2段階の対策をとっておけば思わぬ妊娠をすることはほとんどないでしょう。

また、性行為をする際、注意するのは妊娠の有無だけではありません。コンドームには性感染症を予防する効果もあります。性感染症の多くは性器同士の接触によって起こるものです。そのため男性器に被せるコンドームは性感染症にも高い効果があります。

避妊と性感染症予防を同時に行うため、低用量ピルを服用していたとしてもコンドームも併用するようにしましょう。

飲み忘れた場合の対処方法

低用量ピルを飲み忘れてしまった時はどうしたらいいのでしょうか?

まず、低用量ピルには服用周期があります。この服用周期のうち、いつ飲み忘れてしまったのかによってもリスクが異なります。

低用量ピルの多くは21日間の服薬と7日間の休薬を1セットとしています。薬の中には7日間の休薬の間に偽薬を飲むタイプのものもあり、もしこの偽薬の服用期間中に忘れてしまった場合には全く問題はありません。予定通り21日間の1日目が始まったら、必ず服薬するようにしましょう。

ピルの休薬期間って何?避妊効果に影響は?休薬しない場合どうなるの?

また、21日間の薬を飲み忘れてしまった場合にも、1・2日であればそれほど焦る必要はありません。飲み忘れに気づいた時点ですぐに1錠服用するようにしましょう。
その後は通常通り毎日1錠ずつ飲み続ければ大丈夫です。2日忘れてしまった場合には、服薬を再開してから7日間まではコンドームなど他の避妊方法も使用した方が安心です。

3日以上飲み忘れてしまった場合には避妊失敗のリスクがより高まります。飲み忘れが服薬周期3周目だった場合は、服薬してから4周目の休薬周期が来ても、薬を休んだり偽薬を飲んだりせず、すぐに次の1周目の薬を飲み始めるようにしましょう。

飲み忘れが服薬周期1〜2周目だった場合は、この期間に中出しの性交渉をしていると避妊に失敗している可能性が高くなります。この場合はアフターピル等の対処を検討する必要があります。

低用量ピルの効果はいつから?

低用量ピルは基本的に月経初日から飲み始めることが推奨されており、月経が始まった日から服用開始すると、服用開始日から避妊効果が期待できます。

ただし、生理が始まった週の日曜日から服用を開始するサンデースタートピルという服用方法の場合、避妊効果が見られるまで1週間程度かかるので注意しましょう。

生理に関係なく服用を始めた場合や、生理不順の人の場合は、避妊効果が現れるまで3週間程度かかると考えられます。
その間、性行為を控えるか他の避妊方法と併用して避妊をして下さい。

低用量ピル以外の避妊方法と避妊失敗率は?

低用量ピルは数ある避妊方法の1つに過ぎません。
妊娠を望んでいないのであれば、それぞれの特徴を知った上で自分に適した避妊方法を選ぶことが大切です。

ここからは、低用量ピル以外の避妊方法とその失敗率についてもご紹介したいと思います。

アフターピル

緊急避妊薬(アフターモーニングピル)
アフターピルは緊急避妊薬です。
同意の無い性行為や避妊の失敗により妊娠の可能性がある場合、性行為後、推奨されている時間内(通常72時間以内)にできるだけ早く服用することで、妊娠を阻止する効果が期待できるお薬です。

服薬のタイミングが排卵前であれば、排卵を遅らせて受精そのものを阻害することができます。排卵後の場合は受精卵が子宮に付着するのを妨ぐ効果があります。

アフターピルは性交渉の後できるだけ早く服用することが鍵となります。12時間以内に服用すれば99%の確率、72時間以内で95%、120時間以内でも63%程度の避妊効果があるとされています。
現在は、120時間以内でも約85%以上の高い確率で避妊することができるアフターピルもあります。

アフターピルのデメリットとしては、現時点では医療機関でのみの処方になり、薬局では入手できないという点があります。そのため状況次第では性交渉の72時間以内に服薬することが極めて困難になる場合もあります。

アフターピルはあくまで「緊急避妊薬」であり、メインとして使う避妊方法としては適していません。アフターピルは緊急時に性行為後でも効果が期待できる避妊薬、低用量ピルは性行為前から服用を始めておくことで避妊効果が期待できる避妊薬だと覚えておきましょう。

アフターピル(緊急避妊薬)は薬局で買える?薬の種類や買い方・市販化についても解説

コンドーム

コンドームは最もポピュラーな避妊方法ですが、正しく使用した場合でも避妊率は98%、そうでない場合の避妊率は82%です。

装着や外すタイミング、爪で傷をつけてしまう、途中で外れてしまうなど、気をつけていても失敗する可能性は常にあります。
できるだけ100%に近い確率で避妊をしたいという場合は、やはり低用量ピルとの併用がベストでしょう。

IUS(ミレーナ)

IUS(ミレーナ)
IUSとは子宮内に直接挿入することで避妊効果が期待できる避妊具です。
子宮内避妊具には薬剤(黄体ホルモン)が放出される装置が付帯しており、取り付けることで、受精卵が子宮内膜に着床することを防ぎます。また黄体ホルモンにより子宮内膜の増殖が抑えられ、生理の量も少なくなります。

IUSは一度体内に取り付ければ長ければ5年は有効で、その期間の避妊失敗率は0.14%と、かなり確実な避妊方法です。

ただし、器具の装着や取り外しは医師によって行わなければならず、実際に取り入れるのにハードルがあると感じる方も多いかもしれません。

リズム法

リズム法は避妊方法として誤解されている側面がありますが、実際には妊娠しやすい日を予測する方法であり、確実な避妊方法ではありません。
女性の基礎体温は生理周期によって変化しますが、この周期を利用して排卵日を予測することによって、妊娠しやすい時期としにくい時期を予測することができます。

ただし、生理周期が安定している場合にのみ、正確な予測を立てることができます。また発熱や過労、ストレスなどによっても体温は変化するため、予測した排卵日が正確ではない可能性があることも事実です。

このためリズム法は妊娠したい人にとっては排卵日を予測するのに良い方法の一つかもしれませんが、避妊方法として使うことには大きなリスクがあります。

安全日と危険日っていつのこと?妊娠の確率は?排卵の仕組みを知ろう!

一番良い避妊方法は?

様々な避妊方法を比較してきましたが、それぞれの方法にメリットデメリットがあります。
「結局どれが一番避妊できるの?」と疑問を感じる人も少なくないでしょう。

ここで紹介した避妊方法による妊娠の可能性をまとめた表があります。

避妊方法 理想的な使用方法の場合妊娠する可能性 一般的な使用方法の場合妊娠する可能性
ピル(経口避妊薬) 0.3% 9%
コンドーム 2% 18%
IUD 0.6% 0.83%
IUS 0.2% 0.2%
リズム式 0.4~0.5% 24%

参照:ARDEN465 (contraceptivetechnology.org)

多くの避妊方法では、理想とされる使用方法をすれば高い避妊効果を得られるでしょう。
しかし、理想的な使用方法から外れてしまうと妊娠する確率が急増するものもあります。

特に、コンドームとリズム式は誤った方法を行うと避妊効果が激減してしまう点に注意が必要です。低用量ピルも飲み忘れ等があると一気に妊娠の可能性が上がってしまうことも理解しておきましょう。

また、これまで紹介した避妊方法の中で、性感染症の予防に効果が期待できるのはコンドームだけです。
その他の避妊方法については単独で使用した場合、性器が直接触れ合ってしまうため性感染症リスクが高いと言えるでしょう。

妊娠を希望していない場合、避妊に効果が期待できる低用量ピルやIUD・IUSと、性感染症予防に効果が期待できるコンドームを併用する方法が医学的にも推奨されています。
日常的に取り入れる避妊方法としてはやはり、コンドームと低用量ピルが最もポピュラーでメリットが大きいと言えるかもしれません。コンドームと低用量ピルにもそれぞれ弱点があるため、併用することにより弱点を補い合うことができます。

まとめ

妊娠の有無を、ライフスタイルや現状に合わせてコントロールするのはとても大切なことです。
避妊のために低用量ピルを服用しているはずなのに、「パートナーがコンドームを着用してくれないから低用量ピルを服用する」といったように目的が変わってしまっていませんか?

妊娠を望んでいない場合、中出し(膣内射精)は自分とパートナーを守るためにも控えるのがおすすめです。

この記事では、低用量ピルの避妊効果とリスクについてご紹介しましたが、正しい使用方法やリスクの対処方法についてもご理解いただけたのではないでしょうか。
確実な避妊をするためには、正しい知識が欠かせません。低用量ピルも正しく使うことで、不必要な危険や心配を避けることができます。この記事が参考になれば幸いです。

当院のピルはすべて完全自由診療にて処方しておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

宿田 孝弘
宿田 孝弘 ネオクリニック 院長

ネオクリニック院長の宿田孝弘です。私たちのクリニックはとても小さなクリニックですが皆様にとってのコンビニクリニックになれるように努力しますのでよろしくお願いします。

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